ベトナム都市間移動ガイド|飛行機・列車・寝台バスの選び方
ハノイからホイアンへ、ホーチミンからフーコックへ。区間ごとに何に乗るかを決めるための一本です。
| いちばん速い | ハノイ〜ホーチミンは飛行機で約2時間10分。週1,000便以上が飛んでいます |
|---|---|
| いちばん安い | 寝台バス。ハノイ〜ダナンで38万〜65万ドン(約15〜25米ドル) |
| 夜に動くなら | ハノイ〜フエ、ダナン〜ニャチャンの寝台列車。ホテル代1泊分が浮きます |
| 鉄道が来ない町 | サパ、ダラット、ハザン、フーコック、ホイアン、カットバー |
| 予約の目安 | 国内線は30〜45日前、列車は30〜60日前、テト前後は3か月以上前 |
| 入れてはいけない日 | 帰国日の長距離移動。2025年上半期の国内線定時運航率は62.6%です |
| 2025年の大きな変化 | ハノイ〜ダナンの高速道路が2025年8月19日に全線つながりました |
| カードが通る予約先 | 公式のdsvn.vnは外国発行カードが弾かれがちです。Vexere、Baolau、12Goが確実です |
1. 結論、距離を見れば乗るものは決まります
2. 時刻表を開く前に知っておくこと
3. 五つの手段を一枚の表で
4. 飛行機、速いのは空の上だけです
5. 列車、遅いけれど乗る価値のある区間があります
6. 寝台バスとリムジンバン、安さの代償はどこに出るか
7. 運転手付きの車、贅沢ではなく正解になるとき
8. 船、島へ渡る前に確かめること
9. 自分で運転する話、日本の国際免許は使えません
10. ハノイから動く、サパ・ハロン・ニンビン・ハザン
11. 中部を動く、フエ・ダナン・ホイアン・フォンニャ
12. ホーチミンから動く、ダラット・ムイネー・島へ
13. 予約、どこで買うと損をしないか
14. 時期、テトと台風と、欠航したとき
15. 子ども連れ、大荷物、親と一緒のとき
16. 区間をつないで、旅程にする

1. 結論、距離を見れば乗るものは決まります
区間の距離が500kmを超えたら飛行機、300km以内なら陸路、その中間は出発時刻と翌朝の予定で決めます。ベトナムは南北におよそ1,700km伸びた国です。地図で近そうに見えても、実際は東京から広島くらい離れている区間がいくつもあります。ハノイからホイアンに行きたいなら答えは飛行機です。フエからダナンなら列車です。ハノイからサパなら、鉄道が町まで届いていないのでリムジンバンです。
五つの手段を公平に並べて読者に選ばせる記事は、何も教えていません。区間ごとに一つ選んでください。この記事はその方針で書いています。「この区間に鉄道はありません」も、はっきりした答えのひとつです。
主要区間の答えを先に
| 区間 | 距離の目安 | これに乗ります | 所要 | 片道の目安 |
|---|---|---|---|---|
| ハノイ〜ホーチミン | 約1,700km | 飛行機 | 2時間10分 | 100万〜200万ドン(約38〜76米ドル) |
| ハノイ〜ダナン | 約780km | 飛行機 | 1時間20分 | 66万〜150万ドン(約25〜57米ドル) |
| ハノイ〜フエ | 約670km | 飛行機、夜なら寝台列車 | 1時間15分/13〜15時間 | 飛行機40〜120米ドル、列車57万〜122万ドン |
| ハノイ〜サパ | 約320km | リムジンバン(鉄道は町まで来ません) | 5時間30分〜6時間30分 | 32万〜65万ドン(約12〜25米ドル) |
| ハノイ〜ニンビン | 約95km | リムジンバン | 1時間25分〜2時間 | 12万〜35万ドン(約5〜13米ドル) |
| ハノイ〜ハザン | 約300km | 夜行の寝台バス(空港も駅もありません) | 6〜7時間 | 25万〜45万ドン(約10〜17米ドル) |
| フエ〜ダナン | 約103km | 列車 | 2時間50分〜3時間15分 | 20万7千ドン(平日の観光列車) |
| ダナン〜ホイアン | 約30km | 配車アプリか送迎車(同じ市の中です) | 40分前後 | 市内料金 |
| ダナン〜ニャチャン | 約530km | 飛行機 | 約1時間 | 40〜150米ドル |
| ホーチミン〜ダラット | 約300km | 夜行の寝台バス | 6〜7時間 | 22万〜40万ドン(約8〜15米ドル) |
| ホーチミン〜ムイネー | 約200km | 高速道路経由のバス | 2時間30分〜4時間 | 17万〜50万ドン(約6〜19米ドル) |
| ホーチミン〜フーコック | 島 | 飛行機(鉄道も橋もありません) | 約1時間 | 70万〜250万ドン(約27〜95米ドル) |
表の下三分の一を見てください。ホーチミンから南と西へ向かう区間には、そもそも鉄道の選択肢がありません。ベトナムの鉄道は南北にほぼ一本しか通っていないからです。だから「列車で行けますか」という問いに、この記事は何度も「行けません」と答えます。それが分かるだけでも、旅程を組む時間はかなり短くなります。
迷ったときの三つの質問
- 翌朝に予定が入っていますか。入っているなら夜行はやめて、前日に移動して寝てください。夜行バスは朝5時に降ろされます。
- 荷物は何個ですか。大型のスーツケースが二つ以上あるなら、寝台バスとリムジンバンは外してください。積めますが、乗り降りのたびに苦労します。
- その日が帰国日ですか。帰国日に国内線を入れるのは、この国でいちばんやってはいけない組み方です。理由は第14節で数字を出します。
行き先そのものをこれから決める方は、先にベトナム旅行の全体像と、地方別の北部・中部・南部の記事を見てから、この記事に戻ってくると早いです。
2. 時刻表を開く前に知っておくこと
ベトナムの移動で日本人がいちばん驚くのは、距離でも運賃でもなく「時刻どおりに着かない」ことです。2025年上半期の国内線定時運航率は全社平均で62.6%、前年同期から13.1ポイント下がりました。列車は快適ですが、日本の鉄道のような正確さはありません。この前提を最初に受け入れておくと、旅程の組み方が変わります。
国が縦に長いです
ハノイからホーチミンまで、鉄道の線路で1,726kmあります。飛行機で2時間10分、列車では30〜37時間かかります。資料によって30〜33時間、31〜35時間、32〜37時間と幅が出るので、この記事では30〜37時間と書きます。どの列車に乗るか、いくつの駅に止まるかで本当に変わるからです。
この長さがあるので、「せっかくだから陸路で縦断したい」という考えは、日数を先に確認してから決めてください。ハノイからホーチミンまで各地に寄りながら陸路で下ると、ふつうは2〜4週間かかります。10日間の休暇で同じことをやろうとすると、移動だけで終わります。
鉄道が届かない場所があります
ベトナムで人気の町の多くに、鉄道は来ていません。ここは早めに知っておくほど得をします。
| 行き先 | 鉄道の状況 | 実際の行き方 |
|---|---|---|
| サパ | いちばん近いのはラオカイ駅。町まで約38km、車で1時間 | ハノイから直通のリムジンバン |
| ホイアン | いちばん近いのはダナン駅。約30km | ダナンまで来て、そこから車 |
| ダラット | 7kmの観光用の短い線が残るだけ。他都市とはつながっていません | ホーチミンかニャチャンからバス |
| ハザン | 路線なし。空港もありません | ハノイから夜行の寝台バス一択 |
| フーコック | 島なので路線なし | 飛行機、または本土のハーティエンやラックザーから船 |
| カットバー島 | 路線なし | ハノイからバスと船の通し券 |
| コンダオ諸島 | 路線なし | 飛行機が確実。船は季節で止まります |
高速道路が開通して、古い情報が合わなくなりました
2023年から2026年にかけて、南北高速道路がつぎつぎ開通しました。ネット上の古い記事はまだ開通前の所要時間を載せています。今いちばん情報の食い違いが出るのがここです。
| 区間 | 変化 | 開通 |
|---|---|---|
| ハノイ〜ダナン | 高速道路が途切れずつながりました。乗用車で10〜12時間 | 2025年8月19日 |
| ホーチミン〜ムイネー(ファンティエット) | 約5時間から約2時間30分へ。この期間で最大の短縮です | 2023年4月29日 |
| ホーチミン〜ニャチャン | 約4〜5時間へ。国道1号時代のほぼ半分です | 2024年4月 |
| ホーチミン〜ダラット | 7〜8時間から6〜7時間へ | 区間ごとに順次 |
| ハノイ〜ハザン | 高速道路は工事中で、まだ開通していません | 未開通 |
| ニャチャン〜ダラット | 高速道路の計画はありますが、今は山道のままです | 未開通 |
寝台バスの所要時間だけは、高速道路が開通しても素直に短くなりません。途中で何度も止まり、大型バスには速度制限がかかるからです。ハノイ〜ダナンの寝台バスは、資料によって12〜16時間とも16〜20時間とも書かれています。どちらが正しいか決められないので、この記事では両方を書きます。夕方に乗って翌朝に着く、くらいの理解が実務的です。
南北高速鉄道は、まだ影も形もありません
ハノイとホーチミンを結ぶ高速鉄道は、2024年11月に国会で承認されました。全長1,541km、設計速度は時速350km、総事業費はおよそ670億米ドル、34の省・市のうち20を通る計画です。開通すれば30時間を超える移動が5〜6時間になります。
ただし2026年7月の時点で、まだ着工していません。政府は2026年12月31日までの起工を期限に定めていますが、その根拠となる事業化調査はまだ委託先の選定段階です。選定開始が2026年6月、中間報告の予定が2027年6月なので、実際の着工時期は2026年末から2028年末まで幅を持って報じられています。用地の確保が最大の難所です。今から予約する旅程には、まったく関係がないと考えてください。基本的な運行開始の目標年は2035年です。
地名が2025年に変わりました
2025年7月1日、ベトナムは63あった省と直轄市を34に統合し、県のような中間の行政単位をなくしました。旅行者にとって影響が出るのは、次の三つです。
| 変わったこと | 旅行での影響 |
|---|---|
| クアンナム省がダナン市に統合されました | ホイアンとミーソンは、ダナン市の中にあります。「クアンナム省のホイアン」と書いてある案内は古いです |
| ニントゥアン省がカインホア省に入りました | ニャチャンとファンランが同じ省になりました |
| ビントゥアン省とダクノン省がラムドン省に入りました | ダラットとムイネーが同じ省です。ただし移動時間は変わりません |
| フエが直轄市になりました | 2025年1月1日から。駅の名前は変わっていません |
| バリア・ブンタウがホーチミン市に入りました | ブンタウはホーチミン市の中の一つの区画という扱いです |
| キエンザン省とアンザン省が統合されました | フーコックは新しいアンザン省の特別区という位置づけです |
駅の名前も空港のコードも変わっていません。変わったのは、その周りを囲む省や市の名前だけです。予約サイトで古い省名が残っていても、慌てないでください。
季節によっては動けません
中部の台風は7月から12月まで、いちばん荒れるのは9月半ばから11月半ばです。10月は平均2〜3個の台風が来て、中部では550〜700mmの雨が降ります。ダナン空港は最大風速がおよそ時速60kmを超えると閉まります。南の海はまた別の周期で荒れます。フーコックとコンダオは、いい季節がちょうど逆です。両方の島を一度の旅行でつなぐと、どちらかの航路で必ず荒れた海に当たります。季節の話は第14節にまとめました。
この記事の読み方
第3節までが全体の枠組み、第4節から第9節が手段ごとの中身、第10節から第12節が地域ごとの区間表、第13節以降が予約と時期と旅程の組み立てです。行き先がもう決まっている方は、第10節から第12節のうち自分の地域の表だけを見て、そこから該当する手段の節に戻ってくるのがいちばん早いです。まだ行き先を決めていない方は、頭から読んでください。
3. 五つの手段を一枚の表で
ベトナムの都市間移動は、飛行機、列車、寝台バスとリムジンバン、運転手付きの車、船の五つです。速さは飛行機、安さはバス、夜の快適さは列車、自由度は車、船は島へ渡るときだけの手段です。この五つを一度並べておくと、あとの各節が読みやすくなります。
五つの比較
| 飛行機 | 列車 | 寝台バス・バン | 運転手付きの車 | 船 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 速さ | 桁違いに速いです | 遅いです | 区間によります | 道路次第です | 島へは唯一の代替です |
| 片道の目安 | 50万〜350万ドン | 19万〜180万ドン | 8万〜82万ドン | 1日265万〜320万ドン | 8万5千〜120万ドン |
| 寝られるか | 寝られません | 寝台なら寝られます | 横にはなれます | 座ったままです | 短いので不要です |
| 時刻の正確さ | 全社平均62.6%(2025年上半期) | 遅れますが読める範囲です | 渋滞と休憩次第です | いちばん読めます | 天候で欠航します |
| 荷物 | 格安航空は別料金です | ゆるいです。32kgまで無料 | 下の荷室へ。ほぼ計りません | 積むだけです | 手荷物のみです |
| 町の中心に着くか | 空港から市内へ移動が要ります | 駅は市街地にあります | 郊外に降ろされることがあります | 宿の玄関まで行きます | 港から市内へ移動が要ります |
どんなときに選び、どんなときに選ばないか
| 手段 | これなら選ぶ | これなら選ばない |
|---|---|---|
| 飛行機 | 500km超の区間。ハノイ〜ホーチミン、ハノイ〜ダナン、本土〜フーコック | 帰国日。台風の季節の中部。空港が遠い側を数え忘れた旅程 |
| 列車 | フエ〜ダナンの海沿い。ハノイ〜フエやダナン〜ニャチャンの夜行 | サパ、ダラット、ハザン、フーコック行き。翌朝に飛行機がある日 |
| 寝台バス | ハザン、ダラット、サパなど鉄道が来ない町。予算を抑えたいとき | 身長175cmを超える方。腰や膝に不安がある方。大型スーツケース二つ以上 |
| リムジンバン | ハノイ〜ニンビン、ハノイ〜サパ、ニャチャン〜ダラットのような中距離 | 山道で酔いやすい方。バンは大型バスより揺れが急です |
| 運転手付きの車 | 三人以上。子ども連れ。ハイヴァン峠のように途中で降りたい道 | 一人旅で予算優先のとき。町の中の短い移動だけのとき |
| 船 | フーコック、カットバー、コンダオ。メコンからカンボジアへ | 荒天の予報が出ている日。翌日に国際線がある日 |
この表の使い方
「選ばない」に自分が当てはまったら、その手段は候補から外してください。残った手段が二つ以上ある区間は、たいてい出発時刻で決まります。朝いちばんに着きたいなら夜行、午後をまるまる使いたいなら朝の飛行機、という順です。
運賃はどれも幅で書きました。ベトナムの交通は、同じ区間でも会社と等級と予約時期で二倍から三倍動きます。一つの数字にまとめると、必ずどこかで嘘になります。
一人あたりで考え直すと順番が変わります
運賃を「一人いくら」で並べると、運転手付きの車がいちばん高く見えます。ところが人数で割ると、順番が変わることがあります。ハノイからニンビンへ、三人で移動する場合の例です。
| 手段 | 合計 | 一人あたり | 差の中身 |
|---|---|---|---|
| 列車の軟座 | 34万2千ドン | 11万4千ドン | 1日5〜6本しかなく、駅から先の足が別に要ります |
| リムジンバン | 45万〜105万ドン | 15万〜35万ドン | 宿の前で拾ってくれます |
| 運転手付きの車(1日) | 265万ドン | 88万ドン | 見どころを三か所まわって、その日のうちに戻れます |
三人だと一人あたり3倍の差ですが、四人や五人なら差はもっと縮みます。しかも車なら、チャンアンとムアの洞窟とホアルーを一日でつないで、そのままハノイへ戻れます。バンで往復して現地でもう一度乗り物を探す時間まで数えると、実質の差はさらに小さくなります。人数と行き先の数で計算し直してください。
町の中の移動はこの記事の担当ではありません
この記事が扱うのは町から町への移動だけです。町に着いてからの足には、それぞれ専用の記事があります。ダナン市内はダナンの市内交通、ホイアンの町なかはホイアンの移動手段、配車アプリの使い方はGrabとXanh SMの使い方をご覧ください。空港から市内までの足も、ダナンはダナン空港からの移動に詳しく書いてあります。
4. 飛行機、速いのは空の上だけです
ベトナムの国内線は実質ベトナム航空とベトジェットの二社で、この二社だけで国内出発のおよそ64%を占めます。500kmを超える区間なら飛行機です。ただし空の上の時間だけを見て旅程を組むと必ず狂います。ハノイからダナンは飛行時間1時間20分ですが、家を出てダナンの宿に入るまでで数えると、4〜5時間見ておくのが現実的です。
今どの会社が飛んでいるか
| 航空会社 | 位置づけ | 2025年上半期の定時運航率 | 覚えておくこと |
|---|---|---|---|
| ベトナム航空 | ナショナルフラッグ。国内20路線以上 | 71% | 受託手荷物23kgが基本で込みです。座席の前後幅は31〜32インチ |
| ベトジェット | 格安航空。旅客数はベトナム航空と並びます | 50.6% | 最安運賃は受託手荷物ゼロです。前後幅29インチ |
| バンブー航空 | 大幅に縮小。2025年末で機材7機、国内約12路線 | 81% | 飛んでいる路線を先に確認してください |
| パシフィック航空 | 実質的に名前だけ。親会社から借りた数機分の運航 | 80.2% | 検索に出てきても、別の会社の便を選ぶほうが早いです |
| ベトラベル航空 | 小規模ですが拡大中。2026年にハノイ〜ホーチミンを1日最大5便へ | 67.7% | 2026年6月15日にハノイ〜ブオンマトート線を開設しました |
| VASCO | ベトナム航空系。ATR72プロペラ機で短い滑走路の島へ | 78% | コンダオへ降りられる唯一のベトナム航空グループ機材です |
| サンフーコック航空 | 2025年11月1日就航。フーコックを拠点にした新会社 | データなし | 2026年3月にダナン〜フーコックとニャチャン〜フーコックを開設 |
バンブー航空とパシフィック航空の定時運航率が高いのは、路線を大きく減らしたからだという見方が一般的です。数字だけを見て「この会社は正確だ」と考えないでください。
本当に時間が浮くのはどの区間か
飛行機が効くのは、陸路がおよそ8時間を超える区間です。それより短い区間だと、空港までの移動と搭乗手続きの2時間で、飛んで稼いだ時間がなくなります。
| 区間 | 飛行時間 | 陸路の所要 | 判断 |
|---|---|---|---|
| ハノイ〜ホーチミン | 2時間10分 | 列車で30〜37時間 | 飛行機です。迷う要素がありません |
| ハノイ〜ダナン | 1時間20分 | 列車15〜17時間、バスは12〜20時間と資料が割れます | 飛行機です。ダナン空港は市街から約3kmで、着いてからが速いです |
| ハノイ〜フエ | 1時間15分 | 列車13〜15時間 | 朝から動きたいなら飛行機、宿代を浮かせたいなら夜行列車 |
| ダナン〜ニャチャン | 約1時間 | 列車9〜11時間、バス10〜11時間 | 飛行機です |
| ホーチミン〜ダラット | 約50分 | バス6〜7時間 | 微妙です。リエンクオン空港はダラット市街から約30km離れています |
| ホーチミン〜ムイネー | 路線なし | 高速道路で2時間30分 | 車です |
| ダナン〜クイニョン | 直行便なし | 陸路約6時間 | 陸路です。飛ぶとハノイかホーチミンで乗り継ぎになります |
ハノイ側の玄関口であるノイバイ空港は市街からおよそ28km、平常時で45分、混む時間だと60〜90分かかります。タクシーで30万〜40万ドン、配車アプリで25万〜35万ドンが目安です。ホーチミンのタンソンニャット空港は1区から6〜8kmしかなく、25〜45分です。ダナン空港は市街まで約3km、5〜15分で着きます。この差があるので、同じ距離の区間でも判断が変わります。
手数料の落とし穴
ベトジェットの表示運賃は、ほぼ座席だけの値段です。追加でかかるものを先に足してから、ベトナム航空と比べてください。
| 項目 | ベトジェット | ベトナム航空 |
|---|---|---|
| 機内持ち込み | 7kgと小物ひとつ、全運賃共通 | 10kgと小物ひとつ。ATR72の便は7kg |
| 受託手荷物 | 最安運賃は0kg。Deluxeで20kg、SkyBossで30kg | エコノミーで23kg(運賃種別により20〜23kg) |
| 超過手荷物 | 空港で1kgあたり約4万ドン。事前購入なら3〜5割安くなります | 路線と重量により別建てです |
| 日付や便の変更 | Eco国内線で1人1区間あたり35万ドンと差額 | 運賃種別により変更できます |
| 名前の訂正 | Ecoは不可。可能な運賃でも約34万ドンと差額 | 運賃種別により対応します |
| 座席指定 | 有料。自分でオンライン手続きをすれば無料の席から選べることがあります | 運賃種別により無料です |
受託手荷物を20kg買って座席も指定すると、ベトジェットとベトナム航空の総額が並ぶことがよくあります。表示運賃だけで比べるのはやめてください。
パスポートだけで国内線に乗れます
外国籍の旅行者がベトナムの国内線に乗るときは、直近の入国スタンプが押されたパスポートを見せます。あわせて滞在の根拠となる書類、つまり査証や一時滞在証、永住証を求められますが、査証免除で入国した場合はこの部分が免除されます。日本国籍は45日間の査証免除の対象なので、入国スタンプの入ったパスポート一冊で書類はそろいます。根拠は2026年2月3日施行の公安省の通達です。入国と滞在の条件そのものはベトナムの入国条件にまとめてあります。
「2025年12月1日から国内線は生体認証のみ」という見出しが出回りましたが、短期の旅行者には当てはまりません。ベトナムの電子身分証VNeIDは受け付けられる書類のひとつであって、唯一の手段ではありません。そもそもVNeIDは一時滞在証か永住証を持つ外国人にしか登録できないので、短期の旅行者は登録自体ができません。掲げられていた目標は国内線旅客の7割を自動化ゲートに通すことで、有人カウンターでのパスポート確認をなくすという話ではありませんでした。
長く住んでいる方には別の変更があります。一時滞在証や永住証だけで国内線に乗るのは、もう通りません。パスポートと合わせて出してください。
時刻に関する数字
2025年上半期の全社平均の定時運航率は62.6%でした。2025年6月だけを見ると56%で、24,304便のうち44%が遅れ、1.2%が欠航しています。2025年通年の欠航は1,740便、全体の0.6%です。2026年の業界目標は旅客9,500万人で、前年比13%増を見込んでいます。すでに苦しい定時性の上に、さらに便が増えます。
この数字をどう使うかが、この節でいちばん実用的な部分です。国際線に乗り継ぐ前日には長距離の国内線を入れない。帰国日は移動なしにして、空港に近い宿に泊まる。中部の9月から11月は、ダナンやフエ発の便を旅程の最後に置かない。この三つを守るだけで、たいていの事故は避けられます。
空港の中の構造
- ハノイのノイバイ空港は第1ターミナルが国内線、第2ターミナルが国際線です。850m離れていて、無料のシャトルバスがおよそ15〜20分おきに、朝5時ごろから深夜1時ごろまで走ります。第1ターミナルの手続きカウンターはA、B、Eに分かれていて、Eがベトジェットです。保安検査を抜けたあとは、どの窓口で手続きしても同じ搭乗口へ行けます。
- ホーチミンのタンソンニャット空港は国内線が第1ターミナル、国際線が第2ターミナルで、隣り合っています。第1ターミナルは2階建てで搭乗口は19、出発ホールがAとBに分かれ、それぞれ別の保安検査を通ります。
- 手続きの締め切りは、有人カウンターが出発の2時間前に開いて40分前に閉まります。自動端末は6時間前から45分前まで、オンライン手続きは24時間前から2時間前までです。搭乗口は出発15分前に閉まります。
ホーチミンの新しい玄関口として建設が進むロンタイン国際空港については、2026年の旅行者にとっての結論だけ書きます。ホーチミンで実際に発着するのは今もタンソンニャットです。ロンタインの商業運航開始は当初の2026年6月から年末へ後ろにずれ、まだ確定していません。工事の進み具合や移管の計画はロンタイン国際空港の記事にまとめてあります。

5. 列車、遅いけれど乗る価値のある区間があります
ベトナムの鉄道は速さで選ぶものではありません。ハノイからホーチミンまで1,726kmを30〜37時間かけて走ります。それでも乗る価値があるのは、フエとダナンの間の海沿いと、宿代1泊分が浮く夜行の区間です。この二つ以外の目的で列車を選ぶと、たいてい後悔します。逆にこの二つに当てはまるなら、飛行機より満足度の高い時間になります。
統一鉄道の中身
南北を貫く一本の路線が「統一鉄道」です。奇数番号の列車が南行き、偶数番号が北行きです。SE1からSE10までが基本の毎日運転で、2026年5月15日から全国の時刻表が改正されました。全区間を走る列車は6往復という資料と、そこにSE11とSE12を数えない資料があり、どちらが現状か決められません。予約時に画面で確認してください。
急行のSEは全区間で17〜19の主要駅にしか止まりません。ハノイ、フーリー、ナムディン、ニンビン、タインホア、ヴィン、ドンホイ、ドンハー、フエ、ダナン、クアンガイ、ジエウチー、トゥイホア、ニャチャン、タップチャム、ビントゥアン、ビエンホア、ジーアン、サイゴンの順です。日中に中部の海岸線を通るのはSE3とSE4で、この二本が最も速いと言われる組み合わせでもあります。所要はおよそ33時間です。
座席と寝台の等級
| 等級 | 中身 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 硬座(ハードシート) | 直角に近い座席。主要なSE列車には冷房があります | 2時間以内の短い区間だけ |
| 軟座(ソフトシート) | 冷房付きのリクライニング座席。SE列車の標準です | フエ〜ダナンのような日中3時間まで |
| 硬臥(6人寝台) | 片側3段の6人部屋。マットは薄めです | いちばん安く横になりたいとき |
| 軟臥(4人寝台) | 片側2段の4人部屋。マットが厚く、旅行者に最も人気です | 夜行はここが基本です |
| VIP2人個室 | SE1とSE2にだけ、1本あたり4室ほど | 二人旅で個室にこだわるとき |
4人寝台は下段のほうが高く、上段が安くなります。荷物の出し入れも起き上がりやすさも下段が楽なので、差額はだいたい払う価値があります。
運賃の目安
| 区間 | 所要 | 運賃の目安 |
|---|---|---|
| ハノイ〜フエ | 13〜15時間 | 軟座57万ドン、硬臥下段107万ドン、軟臥下段122万ドン |
| ハノイ〜ダナン | 15〜16時間30分 | 軟臥90万〜140万ドン(約34〜53米ドル)。18時〜20時30分発、翌朝9時〜11時30分着 |
| ハノイ〜ラオカイ(サパ方面) | 約8時間 | 国鉄の4人寝台40万〜46万ドン。観光会社の相部屋は80万〜90万ドン台 |
| ダナン〜ニャチャン | 9〜11時間 | 70万〜150万ドン(約27〜58米ドル) |
| ニャチャン〜サイゴン | 7〜9時間 | 19万〜63万5千ドン。20時〜21時ごろ発、朝4時〜6時着 |
| ハノイ〜サイゴン(全区間) | 30〜37時間 | 軟座102万6千ドン、硬臥下段163万7千ドン、軟臥下段175万8千ドン |
民間の豪華車両は、同じ列車です
LivitransやVioletteといった民間会社の名前をよく見かけます。これらは別の列車ではありません。国鉄のSE列車に、改装した車両を1〜2両つなげているだけです。だから速さも時刻もまったく同じです。違うのは寝具、内装の木目、読書灯、部屋の鍵、コンセント、そして水やお菓子といった細かい部分です。ハノイ〜フエで約32米ドル、ハノイ〜ダナンで約70米ドル、フエ〜ダナンで約25米ドルというのがVioletteの一例です。ラオカイ方面ではSapaly、Chapa、King Expressなどが2人個室を1室198〜215米ドルほどで売っています。
快適さのために1万円払う価値があるかは人によります。ただ「豪華列車に乗る」という言葉から日本のクルーズトレインを想像すると、必ずがっかりします。走っているのは普通の夜行列車です。
乗る価値のある区間
フエとダナンの間、およそ103kmを2時間50分から3時間15分かけて走る区間が、ベトナムの鉄道でいちばん美しい場所です。線路が崖の中腹を縫い、下に海が見えます。道路にはトンネルがあるので、バスや車で移動すると峠の景色をまるまる見ないまま通り抜けます。列車だけが海のほうを走ります。
座る側は進行方向で変わります。フエからダナンへ南下するなら左側、ダナンからフエへ北上するなら右側が海です。景色のいい場所では時速15kmほどまで落ちるという話もよく聞きます。この区間だけを詳しく知りたい方はダナン〜フエの列車に時刻と座席の取り方まで書いてあります。峠道そのものについてはハイヴァン峠のガイドをご覧ください。
新しくできた観光列車
| 列車 | 区間 | 時刻 | 運賃 |
|---|---|---|---|
| 中部世界遺産連結列車(HĐ1〜HĐ4) | フエ〜ダナン | HĐ1はフエ7時45分発ダナン10時35分着、HĐ3はフエ14時25分発17時40分着、HĐ2はダナン7時50分発フエ11時05分着、HĐ4はダナン15時発フエ17時45分着 | 平日20万7千ドン、週末23万1千ドン |
| ホアフオンドー号 | ハノイ〜ハイフォン | 約2時間30分。平日4往復、週末と祝日6往復 | 特別車両は座席が180度回ります |
| ハノイ遺産列車 | ハノイ〜トゥーソン | ハノイ8時発と13時30分発、折り返し10時30分と16時20分 | 55万〜75万ドン |
中部世界遺産連結列車はランコー駅で10分間止まり、乗客が湾を眺めて写真を撮る時間を取っています。7両編成のうち5両が56席の座席車です。2026年3月26日に外装が新しくなり、同時にフエ駅が観光地として正式に位置づけられました。
乗ると実際どうか
行ったことのない方に向けて、利用者が口をそろえて指摘する点を並べます。
- 4人寝台は思ったより狭いです。大型のスーツケースは寝台の下と通路の隅に押し込む形になり、同室の三人と場所を分け合います。柔らかい鞄のほうが収まります。
- 揺れます。線路の状態がよくない区間があり、上段は振れが大きくなります。眠りが浅い方は下段を取ってください。
- トイレは主要なSE列車なら洋式です。古い車両や地方の列車では和式に近い形のものが残ります。清潔さは車両の古さによります。
- 食事は車内で買えます。弁当が5万ドンほど、長距離のSE列車には食堂車があってフォーや米の料理を出します。途中の駅で地元の売り子が短時間だけ乗ってくることもあります。持ち込みも自由です。
- 冷房はよく効きます。寝台には毛布がありますが、薄手の上着を一枚持っていると安心です。
- 時刻は守られないことがあります。ベトナムの鉄道は道路より安全で、遅れも読める範囲だという評価が一般的です。それでも日本の感覚で「3分遅れ」を想像しないでください。到着後に予定を詰めないことが唯一の対策です。
切符と実務
- 発売開始は出発の30〜60日前です。長い区間とテト期間がいちばん早く開き、テト用は11月の第1週に出ることもあります。
- 名前は必ずパスポートどおりに入れてください。ベトナム鉄道は名前の訂正に対応していません。綴りを間違えたら、取り消して買い直しです。
- 払い戻しは15日以上前で10%、3〜14日前で50%、1〜2日前は全額戻りません。テト期間は時期を問わず一律30%が引かれます。日付や等級の変更という仕組みはなく、取り消して買い直す形になります。
- 荷物は1枚の切符につきおよそ32kgまで、縦横高さの合計203cmまでが無料です。機内に持ち込む感覚の手荷物は別に20kgほど。実際に計られることはめったにありません。
- バイクを別送できます。近距離で15万ドンから、ダナンからサイゴンのような長距離で60万〜130万ドンほど。身分証と車両登録書が要り、燃料は抜いておきます。
- 子どもは0〜4歳が無料、5〜9歳は寝台が25%引き、座席が50%引きです。10歳から大人と同額です。
- 食事は車内販売の弁当が5万ドンほど。長距離のSE列車には食堂車があり、フォーや米の料理を出します。
駅の位置と、駅そのものの話
ハノイのハノイ駅は旧市街から車で10分ほどの街なかにあります。地下鉄3号線がこの駅まで延びる計画はありますが、地下区間の開業目標は2027年後半で、2026年時点ではまだつながっていません。サイゴンのサイゴン駅も市街地にありますが、メトロ1号線は通っていないので、配車アプリかタクシーで向かいます。
ハノイ駅については、14km南のゴックホイへ移転する案が民間から出ています。ただし副首相が影響評価を求めている段階で、決まってはいません。2026年に旅行する分には、今の場所のままだと考えて構いません。
通信と電源
統一鉄道の車内で携帯の電波は途切れがちです。改装済みの寝台車には各寝台にコンセントがあり、無線の接続を用意している車両もありますが、あてにしないほうが無難です。長い夜行に乗る前に、機内で見る動画を落としておいてください。通信手段そのものについてはベトナムのeSIMに整理してあります。


6. 寝台バスとリムジンバン、安さの代償はどこに出るか
寝台バスはベトナムでいちばん安く、いちばん行き先が多い手段です。鉄道が来ないサパ、ハザン、ダラット、カットバーへは、これしかありません。代償は寝つきの悪さと、朝5時に見知らぬ郊外で降ろされることです。値段だけで選ぶと必ずここで払います。夜に動く必要がないなら、昼の便を選ぶだけで体験がかなり変わります。
三つの車種を区別してください
| 車種 | 中身 | 向き不向き |
|---|---|---|
| 標準の寝台バス | 34〜44の寝台が2〜3列、上下2段。長さ1.6〜1.8m、幅50〜60cmで、カーテンだけの仕切りです | 身長175cmを超えると足が伸びません。座って上体を起こすのがやっとです |
| 個室型の寝台バス | 寝台の数を20〜24に減らし、幅90cm、長さ180cmの個室にしたもの。画面や照明の操作盤が付くこともあります | 同じ区間で数百円の差なら、こちらを選ぶ価値があります |
| リムジンバン | 9人、11人、16人乗りのバン。寝台ではなく、革張りの独立した座席です。宿の前まで来てくれる路線が多いです | 4〜6時間までの区間向き。山道では大型バスより揺れが急です |
「VIP」という言葉は何も保証しません。ある会社ではカーテン付きの本当の個室を指し、別の会社では少し広いだけの普通の寝台を指します。予約サイトで実際の車内写真を見てから買ってください。大手とされる会社でも、冷房の効きすぎや遅発の不満は普通に出ます。
どの会社がどの路線か
| 会社 | 主な路線 | 評判の傾向 |
|---|---|---|
| フォンチャン(FUTA) | 全国最大の路線網。南部と中部、ホーチミン〜ダラット、メコン方面 | 自社の営業所と予約アプリを持ちます。評価は良し悪しが分かれます |
| ハーソン・ハイヴァン、Interbus Lines | ハノイ〜ラオカイ・サパ | この路線で最も規模が大きいです。寝台の位置を指定できる数少ない会社 |
| サパエクスプレス | ハノイ〜サパ | 28人乗り、18人乗り、個室型の三段階を用意しています |
| ザ・シン・ツーリスト | ハノイ〜フエ〜ホイアン〜ニャチャン〜ホーチミンの縦断路線 | 各都市に自社の窓口があります。通し券の元祖です |
| クムホ・サムコ | ホーチミン発の南部路線 | 2007年設立。テトの事前販売もきちんと行う組織的な会社です |
| クックトゥン | ニャチャン〜ダナン、ニャチャン〜サイゴン | 9人乗りバン、34人乗り寝台、21人乗りの上級バンを使い分けます |
| ホアンロン | ハノイ〜ハイフォン〜ハロンの北部沿岸 | 20年以上続く老舗です |
外国人旅行者の評価が特に厳しい会社もあります。Camel TravelとHanh Cafeは、乱暴な運転、遅い出発、約束と違う場所での降車といった苦情が旅行者の投稿に繰り返し出てきます。安さで一位に出てきた会社をそのまま買わず、口コミの欄を一度は開いてください。
タインブオイという会社は、2023年10月の死亡事故の調査を受けて営業を停止し、免許も取り消されました。2025年2月にホーチミン〜カントー線で再開しましたが、ホーチミン〜ダラット線が戻ったかどうかは確認できていません。この会社名を見かけたら、その路線が本当に動いているか確認してから買ってください。
主な区間の運賃と所要
| 区間 | 所要 | 運賃 |
|---|---|---|
| ハノイ〜サパ | 5〜6時間 | 25万〜55万ドン(約10〜21米ドル) |
| ハノイ〜ハザン | 6〜7時間、夜20時〜23時発 | 25万〜45万ドン |
| ハノイ〜ニンビン | 1時間25分〜2時間 | 12万〜35万ドン |
| ハノイ〜カットバー(船込みの通し券) | 3〜3時間30分 | 25万〜35万ドン |
| ハノイ〜フエ | 12〜14時間 | 40万〜82万ドン(約20〜35米ドル) |
| ハノイ〜ダナン | 12〜16時間とも16〜20時間とも書かれます | 38万〜65万ドン |
| ダナン〜フエ | 約2時間15分(トンネル経由) | 12万〜30万ドン |
| フエ〜ホイアン | 4時から20時まで約20便 | 15万〜28万ドン |
| ダナン〜ニャチャン | 10〜11時間、19時〜23時発 | 32万〜45万ドン |
| ニャチャン〜ダラット | 3〜4時間 | 17万〜59万9千ドン |
| ホーチミン〜ダラット | 6〜8時間 | 22万〜40万ドン |
| ホーチミン〜ムイネー | 2時間30分〜4時間 | 17万〜50万ドン |
| ホーチミン〜カントー | 3〜4時間 | 11万〜27万5千ドン |
| ホーチミン〜ブンタウ | 1時間45分〜3時間30分 | 8万〜32万ドン |
夜に動く代償
夜行を選ぶ理由は宿代1泊分が浮くことです。その代わり、次のことが起きます。
- 朝5時から7時に着きます。時間帯によっては夜明け前です。宿の受付は開いていません。早めのチェックインか荷物預かりを、予約のときに確認しておいてください。
- 降りる場所が町の中心とは限りません。15分ほど郊外のターミナルということがあります。降りた場所からの足を、乗る前に地図で見ておきます。
- 冷房が非常に強いです。とくに前から2〜5列目が冷えます。上着を一枚、手元に置いてください。
- 靴を脱いで乗ります。袋を渡されるので、そこに入れて足元に置きます。
- 車内のトイレは頼りになりません。付いているバスもありますが、実際には2〜3時間おきの休憩で済ませます。
- 貴重品は体から離さないでください。大きな盗難の話はあまり聞きませんが、寝ている乗客の周りが無防備なのは確かです。最後列の寝台は避けるという助言をよく見ます。
安全について、正直なところ
ベトナムの交通事故死者は2024年に11,498人で、前年より約14%減りました。人口10万人あたりの死者数は2025年でおよそ17.7人、アジア太平洋の平均15.2人や東南アジアの14.4人より高い水準です。死者の9割以上はバイクが絡む事故で、登録台数はおよそ7,700万台あります。減ってはいますが、まだ高いというのが正確な言い方です。
長距離バスの事故で繰り返し原因に挙がるのは、深夜の居眠りと速度超過です。旅行者にできることは限られていますが、効果があるとされるのは次の四つです。実績のある大きな会社を選ぶこと。日中に走る便が選べるならそちらにすること。寝台は前でも後ろでもなく真ん中を取ること。乗ってみて運転が明らかに荒ければ、次の休憩で降りる判断をためらわないこと。
通し券をどう考えるか
ハノイからホーチミンまでを1枚で買い、途中の町で何度でも降りられる「オープンツアー」の券は、2026年も売られています。主に扱っているのはザ・シン・ツーリストです。有効期限はおよそ1か月で、各区間の予約は24〜48時間前に入れます。全区間で1社に縛られ、その会社は1日1便しか走らせていないことが多いので、思いつきで日程を変える旅には向きません。区間ごとに買っても総額はそれほど変わらないことがあるので、必ず比べてください。
ターミナルの場所
ハノイにはザップバット・バスターミナル、ミーディン・バスターミナルなど複数の長距離ターミナルがあります。市の計画ではこれらを郊外へ移す方針ですが、計画文書と実際の営業案内が食い違っているので、自分の便がどこから出るかは予約画面で必ず確認してください。ホーチミンの長距離便はミエンドン新バスターミナル、メコン方面はミエンタイ・バスターミナルです。ダナンはダナン中央バスターミナルが24時間動いています。
もうひとつ、予約時に見落としやすい仕掛けがあります。券には市内の便利な集合場所が書いてあるのに、実際の長距離バスは郊外の車庫から出る、という組み合わせです。まず小型の車で集められ、そこから乗り換えます。この移動に20〜60分かかることがあるので、券に書かれた出発時刻の意味を先に確かめてください。


7. 運転手付きの車、贅沢ではなく正解になるとき
三人以上で動くなら、運転手付きの車は一人あたりで見るとバスとほとんど変わりません。1日あたり265万〜320万ドン、日本円でおよそ1万5千円から1万9千円です。これを三人で割れば、寝台バスの数倍にはなりますが、宿の玄関から宿の玄関まで、荷物を持ち上げずに移動できます。子ども連れ、年配の方と一緒、途中で降りたい道がある。この三つのどれかに当てはまるなら、真っ先に検討してください。
相場
| 車種 | 人数の目安 | 1日の料金 |
|---|---|---|
| 小型セダン | 3人と荷物 | 265万ドン(約100米ドル) |
| 中型SUV | 2〜4人 | 285万ドン |
| 7人乗りSUV | 2〜5人 | 295万ドン |
| 大型バン | 最大10人 | 320万ドン |
| 市内の1日貸し切り | 8時間、走行100kmまで | 100〜180米ドル |
| 複数日の例(ホイアン発の7日間) | 運転手が英語を話す条件 | 合計3,062万5千ドン、1日あたり約437万5千ドン |
料金に含まれるのは、車両、運転手、燃料、その日の通行料です。複数日にわたる場合、運転手の食事と宿泊は依頼した側が持つのが慣習ですが、会社によって扱いが違います。契約の文面で必ず確かめてください。心づけは義務ではありません。市内の1日で10万〜20万ドン、複数日の長距離なら1日あたり20万〜50万ドンが、良い運転手への相場だと言われます。
なぜ多くの旅行者が自分で運転しないのか
値段だけを見ると、自分で車を借りるほうが安そうに見えます。1日45〜69米ドルです。ところが実際には、運転手付きを選ぶ人のほうが圧倒的に多いです。理由は四つあります。免許の問題(次の第9節に書きます)、電子課金の車載器がない車で有料道路の有人レーンに並ぶ手間、現地の運転の作法と取り締まりに慣れていないこと、そして運転手を付けても値段があまり変わらないことです。
四つ目が効きます。1日100米ドルの運転手付きと、1日60米ドルの自分で運転する車。差は40米ドルです。その40米ドルで、道を調べる時間と、駐車場を探す時間と、事故の心配が消えます。三人で割れば一人あたり13米ドルほどです。
これが正解になる区間
| 区間 | 車を選ぶ理由 |
|---|---|
| フエ〜ダナン〜ホイアン | ハイヴァン峠の頂上で降りられます。トンネルを通るバスは峠を見ません。ランコーの潟でも止まれます |
| ハノイ〜サパ、ハノイ〜ハザン | 棚田の見えるところで何度でも止まれます。山道でバンに酔う方にも効きます |
| ダナン〜フォンニャ | 4〜5時間の直行。列車だとドンホイで降りて、さらに40kmの移動が要ります |
| メコンの町を一日でまわる | カントー、ベンチェ、チャウドックを一日でつなぐなら、公共交通では組めません |
| 空港へ向かう最終日 | 大荷物を持って乗り換える動作が全部なくなります |
逆にやめておく場合
- 一人旅で予算を優先するとき。人数で割れないので、そのままの金額がかかります。
- 町の中の移動しかしないとき。配車アプリで足ります。詳しくはGrabとXanh SMの使い方をご覧ください。
- ハノイ〜ホーチミンのような超長距離。1日で走れる距離ではありません。
誰に頼むか
頼み先は三つあります。宿のフロントに頼む形は、いちばん手間がかかりません。地域に根ざした会社に直接連絡する形は、価格が明快で、行程の相談もできます。旅行商品の予約サイトで買う形は、事前に決済が済んで安心ですが、細かい行程の相談ができません。三人以上で峠に寄り道するような日程なら、二つ目が向いています。
見積もりを比べるときは、金額だけでなく、含まれる時間と距離を必ず並べてください。「1日いくら」と書いてあっても、8時間で100kmまでなのか、朝から夕方まで距離の上限なしなのかで、中身がまったく違います。この条件を書かずに安い金額だけを出してくる会社は、当日に追加を請求してくることがあります。
頼むときに決めておくこと
ベトナムで車を頼むときは、次の五つを文字で残しておくと揉めません。日本語でやりとりできる会社は多くないので、英語で構いません。
- 拘束時間と距離の上限。「8時間、100kmまで」という条件が一般的です。超えたときの追加料金も聞いておきます。
- 高速道路の通行料と駐車料が込みかどうか。込みでない見積もりも珍しくありません。
- 途中で止まる場所の名前。ハイヴァン峠の頂上、ランコーの潟、といった具合に地名で書きます。
- 運転手が英語を話すかどうか。話さない運転手のほうが安いです。地図アプリで場所を見せるだけなら困りません。
- 複数日なら運転手の食事と宿泊の扱い。ここが最も揉めやすい項目です。
バイクの後ろに乗るという手
ハザンやダラットには「イージーライダー」と呼ばれる仕組みがあります。免許を持つ地元の運転手がバイクを操り、旅行者は後ろに乗ります。自分で運転しないので、免許の問題が最初から発生しません。次の第9節で書くとおり、日本の国際運転免許証はベトナムでは使えません。それでもバイクで山道を走りたい方には、この形が唯一の合法な道です。ハザンの周回路についてはハザン・ループのガイドに詳しく書きました。
8. 船、島へ渡る前に確かめること
ベトナムで船が唯一の手段になるのは、フーコック、コンダオ、カットバーの三か所と、メコンからカンボジアへ抜ける航路です。それ以外の「クルーズ」は移動ではなく観光です。そして五つのなかで、当日の天気で消えるのは船だけです。翌日に国際線がある日には入れないでください。
フーコックへの航路
| 航路 | 所要 | 運賃 | 便数 |
|---|---|---|---|
| ラックザー〜フーコック | 約2時間30分 | 33万〜35万ドン | 1日6便前後 |
| ハーティエン〜フーコック | 1時間15分〜1時間30分 | 18万5千ドン(在来船)〜25万〜35万ドン(高速船) | 7時から14時に複数便 |
スーパードン社の船はバイクと自動車も積めます。バイクで3米ドル、乗用車で116米ドルほどが目安です。フーコック・エクスプレスやタイントイの高速船は旅客専用なので、車両は運べません。
本土側の乗り場は二か所あります。ハーティエン船着き場からが最も短く、1時間15分から1時間30分です。ラックザー船着き場からは約2時間30分かかりますが、便数が多く、メコンの他の島へ渡る便もここから出ます。すでにメコンにいるなら、近いほうを選んでください。
近くのナムズー島やホンソン島へ渡りたい場合、フーコックからの直行便はありません。いったん本土のラックザーへ戻り、そこで乗り換えます。乗り継ぎ便が早朝に出るので、ラックザーで1泊するのが普通です。日程を組むときは、この1泊を先に足しておいてください。島の中の動き方と季節はフーコックのガイドとフーコックのベストシーズンに整理しました。
コンダオへの航路は、確実性で選んでください
| 行き方 | 所要 | 運賃 | 安定度 |
|---|---|---|---|
| ホーチミンから飛行機 | 45分 | 1万3千円前後から | いちばん確実です。1日1〜2便なので早めに押さえます |
| チャンデー(旧ソクチャン)から高速船 | 約2時間 | 21米ドル前後から | 海路では最短です |
| ブンタウから高速船 | 4〜5時間 | 大人79万〜120万ドン | 朝8時30分発、帰りは16時発 |
コンダオへの海路は、過去に何度も運休と再開を繰り返しています。ホーチミン発の高速船もカントー発の便も、資料によって「再開した」「今は止まっている」と食い違います。だからこの記事では現状を断定しません。旅行する日付で、運航会社に直接確認してください。11月から2月は海が荒れ、便が週1回まで減ることも、悪天候で2〜3割が欠航することもあります。この時期に行くなら飛行機です。ベンダム港では2023年11月から1人1回18,000ドンの入港料がかかります。海路で行くなら、乗り場はチャンデー港です。ホーチミンから約230km南にあり、ブンタウ(約100km)より遠いのですが、海に出てからが短いぶん、揺れる時間も短くて済みます。
カットバー島とハロン湾
| 区間 | 所要 | 運賃 | 備考 |
|---|---|---|---|
| ドンバイ埠頭〜カイヴィエン(ハイフォン〜カットバー) | 約30分 | 通し券に含まれます | 約30分おき、1日23〜26便。ドンバイ発5時30分〜18時30分 |
| ハノイ〜カットバーの通し券 | 3〜3時間30分 | 25万〜35万ドン | 高速道路のバス約2時間、渡船、島内の送迎の三つが1枚に入ります |
| トゥアンチャウ〜ザールアン(ハロン〜カットバー) | 渡船45〜50分、高速船15〜20分 | 渡船8万〜9万ドン、高速船15万〜25万ドン | 2026年1月から朝6時発の便が加わりました |
| カットハイ〜フーロンのロープウェー | 10〜15分、全長3,955m | 別料金 | 2026年4月から毎日運行。9時〜15時45分、11時30分〜13時30分は休みます |
ハイフォン側の乗り場はドンバイ埠頭です。以前のゴット埠頭を名前ごと引き継いだ形なので、古い案内では別の名前で出てきます。ハロン側はトゥアンチャウ港で、船着き場が二つに分かれていて約1km離れています。どちらの桟橋か、必ず予約時に確認してください。ハロン湾の船旅そのものについてはハロン湾クルーズのガイドをご覧ください。
ホーチミンからブンタウの高速船
グリーンラインDPの高速船が、ホーチミンからカンザーを経てブンタウまで約90kmを2時間で結んでいます。2025年8月28日から、サイゴン側の乗り場がバクダン4番桟橋に移りました。ハムギー通りの向かい側です。以前の2番桟橋は2025年5月5日に閉じています。
ただし、同じ区間は高速道路のバスで1時間45分、8万〜9万ドンです。時間も値段もバスのほうが上です。船を選ぶのは、海から街を見たいときか、途中のカンザーに寄るときだと考えてください。
メコンからカンボジアへ
チャウドックからプノンペンまで、ハウ川とメコン川を船で抜ける航路があります。朝7時30分にチャウドック船着き場を出て、ヴィンスオンの川の国境で乗客が降りて審査を受け、昼過ぎにプノンペンへ着きます。所要は国境の手続きを含めて5時間から5時間30分、運賃はチャウドックからプノンペンで164万ドンほどです。運航はハンチャウやブルークルーザーなどです。
2026年はカンボジア側の電子入国カードの提出が必須です。出発の1週間前までに、オンラインで済ませておいてください。逆向きにベトナムへ入る場合の条件は国籍で変わるので、ベトナムの入国条件と電子ビザの取り方を先に確認してください。
「船に乗る」と「クルーズに乗る」は別の話です
ベトナムの船を調べていると、移動の船と観光の船が同じ言葉で出てきます。ここを分けておくと、予約を間違えません。
| 種類 | 中身 | 移動になるか |
|---|---|---|
| 渡船と高速船 | 島と本土、あるいは島と島を結ぶ定期の便 | なります。時刻表があり、片道で買えます |
| ハロン湾の宿泊クルーズ | 1〜3泊。ハノイの宿まで送迎の車が迎えに来ます | なりません。出た港に戻ります |
| ハロン湾の日帰り船 | 朝出て夕方戻ります | なりません |
| フエのフォン川の遊覧船 | 市内からティエンムー寺までの往復 | なりません。市内の観光です |
| ホイアンのトゥボン川の船 | 籠船や夕暮れの遊覧 | なりません。ダナンとホイアンを船で結ぶ定期便はありません |
| サイゴンの水上バス | 1区のバクダンからトゥードゥックまで約11km | 市内の公共交通です。都市間の移動ではありません |
ハロン湾で船に泊まる予定なら、その前後の日にハノイからの移動を別に組む必要があります。クルーズ代金に含まれるのは、たいてい港までの送迎だけです。カットバー島に泊まるなら、そこからハロン湾へ渡る船を別に押さえます。
2026年7月から、乗り場での確認が厳しくなりました
2026年7月11日にフーコック沖で観光用の高速船が転覆する事故があり、同じ日に首相が水上交通の安全に関する指示を出しました。旅行者が実際に感じる変化は、次のところです。
- 救命胴衣を、航行中ずっと着ているよう求められることがあります。足元に置いておくだけでは足りません。求められたら素直に着てください。
- 乗船名簿と定員の確認が出発前に入ります。手続きに時間がかかるので、余裕を持って乗り場へ行ってください。
- 船体の検査と登録の確認が厳しくなりました。港や乗り場の側も定期点検が義務づけられています。
旅行者の側でできることは、単純です。明らかに定員を超えて人を乗せている船には乗らない。名簿を取らない船を選ばない。救命胴衣の場所を、座ったらすぐ確かめる。この三つです。とくに離島の小型船で人数を目分量にしている場面に出くわしたら、次の便を待ってください。

9. 自分で運転する話、日本の国際免許は使えません
日本で発給される国際運転免許証は、ベトナムでは無効です。ここは曖昧にできない部分なので、最初に結論を書きます。ベトナムが認めているのは1968年のウィーン条約方式の国際免許だけです。日本が発給しているのは1949年のジュネーブ条約方式で、方式が違います。そして日本とベトナムの間に、免許を相互に認め合う二国間の協定は確認されていません。つまり日本のパスポートで来た旅行者は、ベトナムで合法に運転できません。
なぜこの話が重要なのか
罰金の額の問題ではありません。無免許で運転した場合、事故のときに旅行保険が全部無効になるからです。どちらに非があるかは関係ありません。契約上その事故は補償の対象外になり、治療費も相手への賠償も全額自己負担になります。ベトナムの交通事故死者の9割以上はバイクが絡んでいて、登録台数はおよそ7,700万台です。慣れない交通の中で、その保険なしに走るのがどういうことか、想像してみてください。
| 方式 | ベトナムでの扱い | 該当する国の例 |
|---|---|---|
| 1968年ウィーン条約方式 | 有効です | ロシア、イギリスなど条約の加盟国 |
| 1949年ジュネーブ条約方式 | 無効です | 日本、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド |
| 二国間協定による例外 | 協定の内容に従います | 韓国(2023年7月23日発効) |
ベトナムは2014年にウィーン条約に署名し、2015年に加入しました。日本の免許証をベトナムの免許に切り替える道はありますが、これは居住者向けの制度です。2026年2月28日施行の規定で、外国の免許証を持つ人は学科も実技も受けずにベトナムの免許へ切り替えられるようになりました。申請には所定の書式、公証済みのベトナム語訳、原本、居住の証明、健康診断書、写真、そして13万5千ドンの手数料が要ります。短期の旅行では現実的ではありません。
50ccなら要らない、という話について
ベトナムの法律では、排気量50cc以下の原付には二輪免許が要りません。ただしこれはベトナム国内の免許区分の話であって、外国人が無免許で乗っていいという意味ではありません。加えて、旅行者向けに「免許不要」として貸し出される50ccのバイクは、実際には改造されて50ccを超えていることがよくあります。法的にも安全面でも、勧められる道ではありません。
レンタカーの現実
免許の問題を別にしても、ベトナムで自分で車を借りて走るのは、外国人にとってかなり面倒です。
- 料金は1日45〜69米ドルほど。運転手付きの車と大きくは変わりません。
- 保証金が高いです。総額の50〜100%、あるいは1,500万〜2,000万ドンという定額を求められます。
- 燃料は含まれません。満タンで借りて満タンで返す方式が標準です。
- 通行料は別で、現金が要ります。電子課金の車載器が付いていない車は、有人のレーンに並んでドンで払います。
- 外国のナンバープレートの車で入国する場合は、ベトナムの旅行会社を通じた許可と、ベトナムナンバーの先導車が付く隊列走行が要ります。個人で気軽にできることではありません。
Mioto、ChungXe、Avisといった会社が利用できますが、日本の免許証だけで借りるという前提が成り立たない以上、この記事は自分で運転する形を勧めません。ダナン周辺でバイクを借りたい方はダナンのバイクレンタルに免許の条件まで書いてあるので、そちらを読んでから判断してください。
2025年1月に交通法規が厳しくなりました
2025年1月1日から、交通違反の罰則を定める政令168/2024号が施行されています。飲酒運転はゼロ許容で、呼気からわずかでも検出されれば違反です。この政令は外国人にもベトナム国民と同じ罰則を適用します。運転免許の点数制も導入され、年に12点が与えられ、違反で引かれ、ゼロになると免許が取り消されて試験の受け直しになります。具体的な罰金額は、信頼できる出典が見つからないので書きません。額を知る必要が出た時点で、すでに手遅れだからです。
では、どうすればいいのか
合法に自分の意思で動きたいなら、答えは二つです。運転手付きの車を1日単位で借りるか、バイクなら地元の運転手の後ろに乗ることです。前者は第7節、後者はハザンやダラットで一般的な形です。どちらも免許の問題が発生しません。そして正直なところ、ハイヴァン峠のような道は、運転しているより後ろに乗って眺めているほうが景色を見られます。

10. ハノイから動く、サパ・ハロン・ニンビン・ハザン
ハノイから北へ向かう区間には、鉄道がほとんど役に立ちません。サパもハザンも駅がなく、ニンビンは駅があっても本数が足りません。答えはほぼ全部、道路です。高速道路が整備された結果、ハノイから半径300kmの町は、朝出れば昼前に着くようになりました。北部を数日でまわるなら、ハノイを拠点にして日帰りと1泊を組み合わせるのが効率的です。
ハノイから出る区間の一覧
| 行き先 | 距離 | これに乗ります | 所要 | 運賃 |
|---|---|---|---|---|
| サパ | 約320km | リムジンバン | 5時間30分〜6時間30分 | 32万〜45万ドン、上級席で65万ドン |
| カットバー島 | 約150〜180km | バスと船の通し券 | 3〜3時間30分 | 25万〜35万ドン |
| ハロン湾 | 約150km | クルーズ会社の送迎バス | 2時間30分〜3時間30分 | 船代に含まれることが多いです |
| ニンビン | 約95km | リムジンバン | 1時間25分〜2時間 | 12万〜35万ドン |
| ハザン | 約300km | 夜行の寝台バス | 6〜7時間 | 25万〜45万ドン |
| ハイフォン | 約105km | 観光列車ホアフオンドー号 | 約2時間30分 | 特別車両あり |
| フエ | 約670km | 飛行機、または夜行の寝台列車 | 1時間15分/13〜15時間 | 飛行機40〜120米ドル、列車57万〜122万ドン |
| ダナン | 約780km | 飛行機 | 1時間20分 | 66万〜150万ドン |
| ホーチミン | 約1,700km | 飛行機 | 2時間10分 | 100万〜200万ドン |
サパ、列車で行く理由はほぼありません
ハノイからサパへ行くとき、多くの人がまず寝台列車を思い浮かべます。ところが列車はラオカイ駅止まりで、サパの町までさらに約38km、1時間かかります。この乗り換えは切符に含まれません。列車が約8時間、そこに1時間を足すと9時間を超えます。一方、CT05高速道路を走るリムジンバンは5時間30分から6時間30分で、しかも旧市街の宿の前で拾ってくれます。値段も安いです。
2015年にCT05が開通する前は、道が約8時間かかったので列車が理にかなっていました。今は逆転しています。国際的な旅行者のおよそ8割がバンを選ぶという集計もあります。それでも夜行列車の情緒が目的なら止めません。ハノイ〜ラオカイの国鉄の4人寝台は40万〜46万ドンで、Sapaly、Chapa、King Expressといった会社の改装車両なら1室198〜215米ドルほどです。サパで何をするかはサパのガイドをご覧ください。
ハロン湾とカットバー島、どちらへ行くかで乗り物が変わります
この二つを混同すると予約を間違えます。ハロン湾で船に泊まるなら、乗り物は自分で選びません。クルーズ会社の送迎バスが宿まで迎えに来て、そのままトゥアンチャウの港へ運びます。カットバー島に泊まるなら、自分でバスと船の通し券を買います。ハノイ旧市街を出て、高速道路で約2時間、ハイフォン側の埠頭から渡船で島へ渡り、島内の送迎で町へ入ります。合わせて3時間から3時間30分です。
ハロン湾からカットバー島へ横に移動することもできます。トゥアンチャウとザールアンの間を渡船が45〜50分、高速船が15〜20分で結んでいます。2026年1月から朝6時発の便が加わったので、島から朝の飛行機に間に合わせやすくなりました。
ニンビン、駅はありますが本数が足りません
ハノイからニンビンまで、列車は2時間15分から3時間、11万4千ドンからです。安いのですが、1日に5〜6本しかありません。加えて、チャンアン、タムコック、ムアの洞窟といった見どころは町の外に散らばっているので、駅に着いてから結局もう一度乗り物を探すことになります。
リムジンバンなら1時間25分から2時間、12万〜35万ドンで、旧市街の宿から乗れます。日帰りで行くなら、送迎の付いた日帰りの手配を買ってしまうのがいちばん単純です。詳しい行程はハノイからのニンビン日帰りに書きました。
ハザン、選択肢がありません
ハザンには空港も駅もありません。トゥエンクアン〜ハザンの高速道路は工事中で、2026年半ばの時点でまだ開通していません。だから所要時間は今も6〜7時間のままです。ハノイを夜8時から11時に出る寝台バスに乗り、朝4時から7時に着きます。宿代1泊分が浮くので、周回路を走る人のほとんどがこの形を選びます。
着いた先で乗るのはバイクです。自分で運転する場合の免許の条件は第9節のとおりで、日本の国際免許では走れません。地元の運転手の後ろに乗る形なら問題ありません。周回路の日程と装備はハザン・ループのガイドにまとめました。
ハノイから日帰りにできる範囲
高速道路が整った結果、ハノイを動かずに日帰りで往復できる範囲が広がりました。宿を移さずに済むので、荷物をまとめ直す手間がなくなります。
| 行き先 | 片道 | 日帰りの可否 |
|---|---|---|
| ニンビン | 1時間25分〜2時間 | できます。朝出て夕方に戻る形が定番です |
| ハイフォン | 約2時間30分(観光列車) | できます。ホアフオンドー号は平日4往復、週末と祝日6往復です |
| トゥーソン(ハノイ遺産列車) | ハノイ8時発と13時30分発 | できます。折り返しは10時30分と16時20分です |
| ハロン湾 | 2時間30分〜3時間30分 | できますが、船に乗る時間が短くなります。1泊を勧めます |
| カットバー島 | 3〜3時間30分 | 勧めません。島に着いた時点で午後です |
| サパ | 5時間30分〜6時間30分 | できません。最低でも1泊です |
| ハザン | 6〜7時間 | できません。周回路を走るなら3泊は要ります |
ハノイから中部と南部へ
ハノイからフエへは、朝から動きたいなら飛行機、宿代を浮かせたいなら夜行列車です。飛行時間は1時間15分ですが、ノイバイ空港まで28km、そこに搭乗手続きの時間を足すと、家を出てフエの宿に入るまでで3時間30分から4時間30分になります。それでも列車の13〜15時間とは比べものになりません。時間を優先するならこの区間は飛行機です。
ハノイからダナンは、飛行時間1時間20分に対して、列車が15〜17時間、バスは資料によって12〜16時間とも16〜20時間とも書かれます。しかも高速道路が2025年8月19日に全線つながったので、乗用車なら10〜12時間まで縮みました。それでも飛行機とは桁が違います。ダナン空港は市街から約3kmしかないので、着いてからも速いです。この区間で陸路を選ぶのは、途中のフエやドンホイに寄る場合だけです。
ハノイの駅とターミナル
列車はハノイ駅から出ます。旧市街から車で10分ほどです。長距離バスは行き先によってターミナルが分かれ、市の再編計画も進行中なので、自分の便がどこから出るかは券面で確認してください。宿の前まで迎えに来るリムジンバンなら、この心配自体がなくなります。ハノイでの滞在先の選び方はハノイの宿泊エリア、市内の見どころはハノイのガイドをどうぞ。

11. 中部を動く、フエ・ダナン・ホイアン・フォンニャ
中部はベトナムでいちばん移動が楽な地域です。フエ、ダナン、ホイアンが100km圏に収まっていて、しかもこの三角形の中に、国内で最も美しい鉄道区間があります。2025年7月1日の行政区画の再編で、ホイアンとミーソンはダナン市の中に入りました。つまりダナンからホイアンへの移動は、もう市外への移動ではありません。
中部の区間一覧
| 区間 | 距離 | これに乗ります | 所要 | 運賃 |
|---|---|---|---|---|
| フエ〜ダナン | 約103km | 列車 | 2時間50分〜3時間15分 | 平日20万7千ドン、週末23万1千ドン |
| フエ〜ダナン(急ぐとき) | 約103km | トンネル経由のバス | 約2時間15分 | 12万〜30万ドン |
| フエ〜ホイアン | 約130km | リムジンバン | 3時間前後 | 15万〜28万ドン |
| フエ〜ダナン(峠越え) | 約103km | 運転手付きの車 | 停まりながら4〜5時間 | 車1台の1日料金 |
| ダナン〜ホイアン | 約30km | 配車アプリか送迎車 | 40分前後 | 市内の料金です |
| ダナン〜フォンニャ | 約270km | 運転手付きの車、または列車とバス | 車で4〜5時間、鉄道経由で6〜8時間 | 車400万〜450万ドン、バス25万〜30万ドン |
| ダナン〜クイニョン | 約277〜330km | バスか列車(直行便はありません) | 約6時間 | 35万2千〜37万ドン |
| ダナン〜ニャチャン | 約530km | 飛行機 | 約1時間 | 40〜150米ドル |
フエとダナンの間、この区間だけは列車です
103kmを走るだけの短い区間ですが、ベトナムの鉄道で最も評価が高いのはここです。線路が海に落ちる崖の中腹を通り、ランコー湾が眼下に見えます。所要は2時間50分から3時間15分。バスならトンネルを通って2時間15分で着きますが、その代わり峠の景色をまるまる見ません。15分早く着くために何を失うかを考えてください。
観光用の中部世界遺産連結列車は、フエ発が朝7時45分と14時25分、ダナン発が朝7時50分と15時です。ランコー駅で10分間止まり、乗客が湾を眺めます。運賃は平日20万7千ドン、週末23万1千ドンで、7両編成のうち5両が56席の座席車です。座る側は、南下なら左、北上なら右が海です。この区間の切符の取り方と時刻の細部はダナン〜フエの列車に書いてあります。
峠道そのものを歩いたり停まったりしたいなら、運転手付きの車で4〜5時間かけて登るのがいちばんです。頂上の展望台は無料で、ランコーの潟にも寄れます。峠の詳細はハイヴァン峠のガイドに、フエの日帰りの組み方はダナンからのフエ日帰りにあります。フエの町そのものはフエのガイドです。
ダナンとホイアンは、もう市の中の移動です
行政区画の再編で、ホイアンはダナン市に入りました。約30km、車で40分前後です。配車アプリ、ホテルの送迎、乗り合いバスのどれでも動けます。この区間には専用の記事があるので、料金の比較や時間帯ごとの混み具合はダナンからホイアンへの行き方をご覧ください。ホイアンの町なかの足はホイアンの移動手段です。
ここで注意していただきたいのは、鉄道でホイアンには行けないことです。いちばん近い駅はダナン駅で、そこから約30km離れています。「ホイアン駅」という駅はありません。列車で来るなら、ダナンで降りて車に乗り換えます。
フォンニャ、鉄道の駅から遠いのが問題です
フォンニャの洞窟群へ行くとき、いちばん近い駅はドンホイ駅です。そこからフォンニャまで約40km、車で45〜60分、バスで60〜90分かかります。統一鉄道のSE1からSE8までがドンホイに停まるので、ハノイからでもダナンからでも列車で来られますが、降りてからの40kmを忘れないでください。
ダナンからだと、直行の飛行機はありません。運転手付きの車で4〜5時間、400万〜450万ドンが最も単純です。バスは6〜7時間で25万〜30万ドン。列車を使うなら6〜8時間かかります。洞窟の予約と装備はフォンニャ洞窟のガイドにまとめました。
クイニョンとニャチャン、南へ抜けるとき
ダナンからクイニョンまで、直行の飛行機はありません。飛ぶとハノイかホーチミンを経由することになるので、素直に陸路です。約6時間、35万2千ドンから。距離は資料によって277kmとも320〜330kmとも書かれます。
ダナンからニャチャンは飛行機です。飛行時間は約1時間、陸路だと列車で9〜11時間、バスで10〜11時間かかります。海沿いの景色は確かに良いのですが、9時間を払う価値があるかは日程次第です。ニャチャンの過ごし方はニャチャンのガイド、ダナンとの比較はダナンとニャチャンの比較にあります。
台風の季節に中部を通るとき
9月から11月に中部を移動する予定なら、この地域だけは陸路の代替も一緒に消えることを知っておいてください。台風が来ると、ダナン空港が閉まるだけでなく、フエからホイアンへの道が数時間で冠水し、ハイヴァン峠が安全のため通行止めになり、ランコーのトンネルを通る鉄道も止まります。空も陸も同時に止まるので、「飛行機がだめなら列車で」という逃げ道が使えません。詳しくは第14節とダナンの雨季と台風をご覧ください。
ダナンを拠点にした日程の組み方はダナンの3〜4日モデル行程、周辺の日帰りはダナンからの日帰り先、宿の選び方はダナンの宿泊エリアとホイアンの宿泊エリアにあります。
12. ホーチミンから動く、ダラット・ムイネー・島へ
ホーチミンから出る区間は、北部や中部と性格が違います。鉄道がほとんど関係なく、代わりに高速道路と国内線が主役です。2023年に開通したファンティエット〜ザウザイの高速道路は、ホーチミンからムイネーまでの所要を約5時間から約2時間30分へ縮めました。これはこの数年でベトナム最大の短縮です。古い記事の「5〜6時間」を信じないでください。
ホーチミンから出る区間の一覧
| 行き先 | これに乗ります | 所要 | 運賃 |
|---|---|---|---|
| ダラット | 夜行の寝台バス | 6〜8時間 | 22万〜40万ドン |
| ダラット(急ぐとき) | 飛行機 | 飛行時間約50分。空港から市街まで約30km | 60万〜180万ドン |
| ムイネー・ファンティエット | 高速道路のバス | 2時間30分〜4時間 | 17万〜50万ドン |
| ムイネー(列車で行くなら) | ファンティエットまで列車、そこから24km | 約4時間と乗り換え | 1日2往復のみ |
| ブンタウ | 高速道路のバス | 1時間45分 | 8万〜9万ドン |
| ブンタウ(海から) | グリーンラインDPの高速船 | 約2時間 | バスより高く、遅いです |
| カントー(メコン) | バス | 3〜4時間 | 11万〜27万5千ドン |
| チャウドック(メコン) | リムジンバス | 5〜6時間 | 21万〜25万7千ドン |
| フーコック | 飛行機 | 約1時間 | 70万〜250万ドン |
| コンダオ | 飛行機 | 45分 | 片道1万3千円前後から |
| ニャチャン | 飛行機、または夜行列車 | 飛行機約1時間、列車7〜9時間 | 列車19万〜63万5千ドン |
ダラット、夜行バスが定番になりました
ホーチミンからダラットへは、以前は7〜8時間かかりました。高速道路の区間が順次開通して、今は6〜7時間です。フォンチャンなどの寝台バスが早朝5時から深夜2時まで30分おきに出ていて、22万〜40万ドンです。夜に乗れば宿代1泊分が浮きます。
飛行機は飛行時間約50分ですが、リエンクオン空港はダラット市街から約30km離れています。空港までの移動と搭乗手続きを足すと、バスとの差はかなり縮みます。時間を金で買う価値があるかは人によりますが、以前ほど明快な差ではなくなりました。
ダラットに鉄道で行くことはできません。かつてタップチャムから登る路線がありましたが1972年に壊れ、今はダラット駅からチャイマット村までの7kmが観光用に残っているだけです。他の都市とはつながっていません。
ムイネー、この数年で最も変わった区間です
ザウザイ〜ファンティエット間の高速道路が2023年4月29日に開通しました。99km、6車線、最高時速120kmです。ホーチミン〜ロンタイン〜ザウザイの高速道路とつながったことで、ホーチミンからファンティエットまでが乗用車で約2時間30分になりました。バスは休憩を挟んで約4時間です。
列車という選択肢もあります。ホーチミンからファンティエットまでSPT列車が1日2往復、約4時間です。ただしファンティエット駅からムイネーまで、さらに24km、25〜30分の移動が要ります。合計すると高速道路のバスのほうが速いです。列車を選ぶのは、渋滞のない確実な時刻が欲しいときだけです。
ブンタウ、船よりバスです
高速道路ができる前は、ホーチミンからブンタウへは船が定番でした。今は違います。バスなら1時間45分、8万〜9万ドン。船は約2時間で、値段も高いです。それでも高速船は動いていて、2025年8月28日からサイゴン側の乗り場がハムギー通り向かいのバクダン4番桟橋に移りました。船を選ぶのは、川から街を見たいときか、途中のカンザーに寄るときです。
メコンデルタ
カントーまでバスで3〜4時間、1日57便ほどが深夜0時から夜11時まで出ています。運賃は11万〜27万5千ドンです。チャウドックまでは5〜6時間、21万〜25万7千ドン。ベンチェは単独の路線券より、日帰りの手配に組み込まれていることが多い行き先です。
メコンの町を二つ以上まわるなら、公共交通で組むより運転手付きの車を1日借りるほうが早くて安いことがあります。三人以上ならほぼ確実にそうなります。
島へ、飛行機か船かの判断
フーコックへは飛行機が基本です。ホーチミン、ハノイ、カントーなどから直行便があります。本土のハーティエンやラックザーからの船は、すでにメコンにいる人向けの選択肢です。ハーティエンからなら1時間15分から1時間30分、ラックザーからなら約2時間30分です。
コンダオへは飛行機を強く勧めます。1日1〜2便しかないので早めに押さえてください。滑走路が1,830mと短いため、大型のジェット機は降りられません。飛んでいるのはベトナム航空グループのVASCOのATR72プロペラ機と、ベトジェットが借りているCOMAC C909です。ベトジェットは2025年11月25日に運航を再開しましたが、機材の運用は安定していない時期があります。バンブー航空は2024年4月に運休したまま戻っていません。
フーコックとコンダオは、いい季節がちょうど逆です。フーコックは11月から5月、コンダオは3月から9月が海の穏やかな時期です。一度の旅行で両方の島を船でつなぐと、どちらかの航路で必ず荒れた海に当たります。飛行機で移動する前提なら成立しますが、船で組むのはやめてください。ダナンとフーコックで迷っている方はダナンとフーコックの比較をどうぞ。
ニャチャンへは、南部で唯一まともに使える夜行列車があります
ホーチミンから北へ向かう区間のうち、鉄道が実用になるのはニャチャンまでです。7〜9時間で、20時から21時ごろに出て、朝4時から6時に着きます。運賃は19万〜63万5千ドンと幅がありますが、上の等級でも1,000円台から2,500円ほどです。到着が早すぎるのが唯一の難点で、宿の早いチェックインを先に確認しておいてください。
ニャチャンからダラットへ横に抜ける場合は、バスかバンです。約140kmの山道を3〜4時間かけて登ります。ここは酔いやすい区間として有名で、最後の2時間はカーブが続きます。酔い止めは乗る前に飲んでください。小型のバンは動きが急なので、酔いやすい方は大型のバスを選んだほうが楽です。この二つの町を結ぶ高速道路の計画はありますが、まだ工事も始まっていません。
ホーチミンの駅とターミナル
列車はサイゴン駅から出ます。3区にあり、メトロ1号線は通っていないので、配車アプリかタクシーで向かいます。長距離バスは、東と北へ向かう便がトゥードゥックのミエンドン新バスターミナル、メコン方面がミエンタイ・バスターミナルです。旧ミエンドンのターミナルも短距離の便では動いているので、券面に書かれた場所を必ず確かめてください。滞在先の選び方はホーチミンの宿泊エリア、街そのものはホーチミンのガイドにあります。
13. 予約、どこで買うと損をしないか
日本発行のカードで確実に買えるのは、Vexere、Baolau、12Goの三つです。鉄道の公式サイトdsvn.vnは、外国発行のカードが弾かれるという旅行者の報告が多く、実際には決済まで進めないことがよくあります。公式が最も安いのは事実ですが、買えなければ意味がありません。この節では、何をどこで買うかを手段別に決めます。
手段別、どこで買うか
| 買うもの | 第一候補 | 次善 | やめたほうがいいこと |
|---|---|---|---|
| 国内線 | 航空会社の公式サイトかアプリ | 比較サイトで便を探して公式で買う | 手数料の高い代理店で買って、変更時に二重に払うこと |
| 列車 | Baolau、Vexere | 駅の窓口で現金 | dsvn.vnで決済に何度も挑戦して時間を溶かすこと |
| 寝台バス・リムジンバン | Vexere | 12Go、宿の受付 | 路上の看板だけで会社を選ぶこと |
| 船 | 運航会社の公式サイト | 12Go、Baolau、港の窓口 | 荒天の予報が出ている日に買って、そのまま放置すること |
| 運転手付きの車 | 宿のフロント経由か地域の会社 | 旅行商品の予約サイト | 条件を口約束で済ませること |
予約サイトの比較
| サイト | 強み | 弱み |
|---|---|---|
| Vexere | 国内最大のバス予約。ベトナム鉄道の正式な提携先で、同じ在庫を扱います。Visa、Mastercard、JCB、Amexが通り、英語の窓口もあります | 日本語には対応していません |
| Baolau | ベトナム鉄道の正規代理店。列車、バス、国内線を一つの画面で扱います。決済から5〜10分で券が届きます | 払い戻しに70日以上かかったという報告があります。手数料は戻りません |
| 12Go | 列車、バス、船を組み合わせた行程を一度に組めます。カンボジアやラオスへの越境も扱います | 手数料が高いという声が多いです。カード決済に4%ほどの上乗せがあります |
| Klook | 観光向けの商品が中心。寝台列車の上級個室や通し券などが分かりやすく並びます | 選べる便が限られます。列車は3日前までの予約を推奨しています |
| dsvn.vn(公式) | 時刻と運賃が最も正確です | 外国発行カードが通らないことが多いです。英語表示も一部だけです |
間違えるといくら損をするか
- 列車の名前を間違えると、券が無効になります。ベトナム鉄道は名前の訂正に対応していません。取り消して買い直すことになり、出発が近ければ50%から全額が消えます。パスポートのローマ字表記をそのまま写してください。
- 列車の払い戻しは段階制です。15日以上前で10%、3〜14日前で50%、1〜2日前は戻りません。テト期間は時期を問わず一律30%引かれます。
- Baolauの列車の取り消しは出発12時間前まで。祝日と割引運賃は対象外です。運賃の10〜20%と1枚あたり3万5千ドンが引かれ、Baolau自身の手数料は戻りません。
- ベトジェットの変更は1人1区間で35万ドンと差額。安い運賃で買ってから日程を動かすと、正規運賃で買っておいたほうが安かった、という結果になりがちです。
- 格安航空の表示運賃には受託手荷物が入っていません。空港で預けると1kgあたり約4万ドン。事前に買えば3〜5割安くなります。
現地での支払い
ベトナムではQR決済がどこにでもありますが、これはベトナムの銀行口座を持つ人のための仕組みです。短期の旅行者はほぼ使えません。バスの窓口や港の窓口では、現金が最も確実です。
ATMは、主要都市の空港、バスターミナル、駅にあります。Vietcombank、BIDV、VietinBank、Techcombank、ACB、Sacombankのものが外国発行カードを受け付けます。1回の引き出し上限は300万〜500万ドン、手数料は5万ドンあるいは2%程度からです。夜のバスターミナルでは、屋外に単独で立っている機械より、銀行や商業施設の中の機械を使ってください。両替と紙幣の見分け方はベトナムの通貨と両替にまとめてあります。
券を買うときに気をつける手口
いちばん多いのは、有名な会社の名前をまねた店です。ザ・シン・ツーリストは自社のサイトに注意喚起の頁を設け、ハノイにある10か所以上の偽の営業所を名指ししています。公式に載っている住所以外の店は、名前が同じでも別物だという立場です。同じことは他の会社にも起きています。看板や検索結果の上位ではなく、会社の公式サイトに載っている住所を確かめてから入ってください。
- 荷物の積み込みで追加料金を請求されたら、払わずに自分の席へ進んでください。標準の荷物に正規の料金はありません。
- タクシーは配車アプリか、VinasunかMai Linhの正規の車を使ってください。塗装をまねた車が駅前や空港に並んでいます。
- 紙幣は必ず確認してから渡してください。50万ドンと2万ドンは、ぱっと見の色が似ています。
- 夜行バスを降りた直後は判断力が落ちます。宿は事前に押さえ、住所を画面に出せる状態にしておいてください。よくある手口はベトナムでよくある詐欺にまとめました。
いつ買うか
| 手段 | 発売開始 | 買っておく目安 |
|---|---|---|
| 国内線 | 通年 | 30〜45日前。平日の便が安いです |
| 国内線(テト期間) | 5か月以上前から | 60日以上前。テト前後は割増が1区間あたり40〜100米ドル乗ります |
| 列車 | 30〜60日前 | 長い区間ほど早く開きます。テト用は11月の第1週に出ることもあります |
| 寝台バス | 数週間前 | 普通の週末なら2〜3日前で足ります。11月から1月の週末や祝日なら4週間前 |
| 船 | 数週間前 | 季節による欠航があるので、日付の直前に運航状況を見直してください |
| 運転手付きの車 | 随時 | 1週間前で足りますが、テト期間は別です |
普通の週末にどれだけ前もって買うべきかは、資料によって「5〜7日前」「2〜3日前」「4週間以上前」と大きく割れます。この幅の理由は季節です。閑散期の平日なら数日前で足り、11月から1月の週末や祝日に重なるなら4週間前でも遅いことがあります。自分の日程がどちらに近いかで判断してください。
券の形
列車もバスも、QRコードの電子券が標準です。画面でも印刷でも通ります。列車の券にはパスポート番号が結びついているので、乗るときにパスポートを持っていてください。駅の窓口で買った紙の券も、そのまま有効です。オンラインで決済が通らなかったときの逃げ道として、駅の窓口で現金という手はいつでも残っています。
14. 時期、テトと台風と、欠航したとき
ベトナムの移動でいちばん高くつくのは、テトの前後2週間と、9月から11月の中部です。前者は席がなくなり、後者は席があっても飛びません。この二つを避けられない日程なら、代わりに余裕を作ってください。具体的には、国際線に乗り継ぐ前日を移動のない日にすることです。
混む時期の一覧
| 時期 | 2027年の日付 | 起きること |
|---|---|---|
| テト(旧正月) | 2月6日が元日。祝日は2月3日から11日と伝えられますが、正式な決定は数か月前に出ます | 主要区間の列車、バス、飛行機が数週間前に売り切れます。直後の戻りの便も高騰します |
| 統一記念日と労働節 | 4月30日(金)と5月1日(土) | 連休になります。3週間前には押さえてください |
| 建国記念日 | 9月2日(木)と3日(金) | 国内旅行が集中します |
| 夏休み | 6月中旬から8月中旬 | 海と高原の路線が値上がりします |
| 週末 | 金曜の夕方と日曜の帰り | ハノイ〜サパの夜行は22時〜23時発から先に埋まります |
テト2026年の実績から言うと、飛行機はおよそ3週間半前、列車は2週間半前、バスは12日前を過ぎると席がほぼ消えました。テト2027年は元日が2月6日なので、この間隔を当てはめて逆算してください。航空会社はテト用の券を5か月以上前から売り始めます。テト期間に確実に移動する必要があるなら、9月には押さえておくのが安全です。
台風の季節
ベトナム全体では7月から12月、いちばん強いのは9月半ばから11月半ばです。10月は平均2〜3個の台風が来て、中部に550〜700mmの雨が降ります。最も影響を受けるのはフエからダナン、ホイアンにかけての海岸線です。
| 何が起きるか | 具体的に |
|---|---|
| 空港が閉まります | ダナン空港は最大風速がおよそ時速60kmを超えると停止します。台風チャーミーのときはダナン、フーバイ(フエ)、ドンホイ、チューライの四つが同時に止まり、ダナンは約22時間閉まりました |
| 陸の逃げ道も消えます | フエからホイアンへの道は数時間で冠水します。ハイヴァン峠は安全のため通行止めになり、ランコーのトンネルを通る鉄道も止まります |
| 鉄道が長期間止まることがあります | 2025年11月の中部の洪水では、南北線で深さ9m近い土砂崩れが起き、1,500人が乗り換えを強いられ、44本の列車が運休して2万1千枚以上の券が払い戻されました |
| 船とクルーズが止まります | ハロン湾は9月の欠航率が最も高く、およそ3割という運航会社の集計があります。フーコックやコンダオの航路も年に何度も止まります |
| 知らせは前日に来ます | 航空会社は上陸予想の24〜36時間前から欠航や振替の案内を出し始めます。ハロン湾のクルーズは出発当日の15時までに判断が出るのが通例です |
欠航したとき、実際にどう動くか
これがこの節でいちばん役に立つ部分です。
- 空港や駅のカウンターに並ばないでください。同じことを考えた人が全員そこにいます。航空会社のアプリか電話、あるいは宿のフロントに頼むほうが早く片づきます。
- 無料の振替がきく期間を先に聞いてください。ベトナムの航空会社は、5〜10日以内の便への振替を手数料なしで受けることが多いです。この期間内に代わりの日程を組めるなら、払い戻しより早く動けます。
- 払い戻しは時間がかかります。14営業日から60営業日という幅で見ておいてください。旅行中に戻ってくるとは考えないほうがいいです。
- 陸路の代替を確かめてから決めてください。中部の台風では、道路と鉄道も同時に止まっていることがあります。「バスで行けばいい」と決めてから調べると、二重に時間を失います。
- ハロン湾のクルーズは天候による中止なら全額返ります。日付の変更もできます。
旅程に余裕を作る
台風の季節に中部を通る日程なら、国際線に乗る日の前に一日空けておいてください。その一日をダナンやホーチミンで過ごす前提にしておけば、前の区間が飛ばなくても間に合います。逆にこの一日がないと、一つの欠航で帰国便まで崩れます。定時運航率が62.6%という数字は、そういう意味の数字です。
旅行保険については、交通の欠航と遅延がどこまで補償されるかを、契約の前に読んでおいてください。第9節で書いたとおり、無免許運転の事故は補償の対象外です。それ以外でも、天候による欠航の扱いは商品によってかなり違います。
テト期間に、そもそも移動しないという選択
テトに当たってしまう日程なら、区間を減らすのがいちばん効きます。元日の前後3日は、家族経営の食堂や市場、仕立て屋が閉まります。大都市の商業施設やコンビニは開いていますが、地方の小さな町では閉まっている店のほうが多いです。この時期に町から町へ動き回っても、着いた先で開いている店が少ないので、得るものが減ります。
逆に、一か所に腰を据えるならテトは悪くありません。花市が立ち、街が飾られ、普段は見られない行事があります。移動を減らして滞在を長くする方向に日程を組み替えると、券の争奪戦からも降りられます。テトの直後も値段が跳ね上がるので、「元日を過ぎたから大丈夫」とは考えないでください。人が一斉に都市へ戻る時期です。
季節をずらすという選択
行き先ごとに、海と空が落ち着く時期は決まっています。中部は2月から8月、フーコックは11月から5月、コンダオは3月から9月、北部の山は9月から11月と3月から5月です。日程を動かせるなら、この表に合わせるのがいちばん確実な対策です。地域別の詳しい季節はダナンのベストシーズン、ニャチャンの雨季と台風、フーコックのベストシーズンをご覧ください。中秋の時期に旅行するならベトナムの中秋節も参考になります。
15. 子ども連れ、大荷物、親と一緒のとき
体力に不安のある方と動くなら、答えはほぼ運転手付きの車です。ベトナムの公共交通は、日本の基準で言うと段差だらけです。列車は車椅子のまま乗れず、寝台バスは狭い通路と段を上がって寝台に入ります。値段だけを見て寝台バスを選ぶと、着いた翌日が使えなくなります。ここは払う場所です。
手段別の向き不向き
| 手段 | 子ども連れ | 大荷物 | 年配の方 | 車椅子 |
|---|---|---|---|---|
| 飛行機 | 短くて楽です | 受託手荷物で解決します | 空港内の移動が長いです | ベトナム航空は優先搭乗などの支援があります |
| 列車の4人寝台 | 横になれるので楽です | 寝台の下と棚に入りますが狭いです | 上段は避けてください。下段を指定します | 車椅子のまま乗れません。抱えて乗ることになります |
| 寝台バス | 寝台が狭く、乗り物酔いも出ます | 下の荷室へ。取り出しが面倒です | 膝と腰に負担がかかります | 向きません |
| リムジンバン | 4時間までなら現実的です | 座席数が減るぶん積めます | 座席なので寝台より楽です | 乗り降りに段があります |
| 運転手付きの車 | いつでも止まれます | 積むだけです | 最も負担が少ないです | 最も現実的な手段です |
| 船 | 揺れます。酔い止めを先に | 手荷物だけです | 桟橋の乗り降りに注意が要ります | 桟橋と船の段差が問題になります |
子どもと一緒のとき
- 列車の運賃は0〜4歳が無料、5〜9歳は寝台が25%引き、座席が50%引きです。10歳から大人と同じです。
- 4人寝台を家族で押さえるのが、いちばん平和な形です。4人分を買えば個室になります。知らない人と同室になりません。
- 夜行バスは避けてください。寝台の幅が50〜60cmしかなく、子どもと大人が並んで眠れません。個室型でも90cmです。
- 山道の区間は酔います。ニャチャン〜ダラットの最後の2時間は、カーブが続きます。酔い止めは症状が出てからではなく、乗る前に飲んでください。大型バスのほうが、小型のバンより揺れが穏やかです。
- チャイルドシートは期待しないでください。用意している会社は多くありません。必要なら手配時に文字で確認してください。
大きな荷物と一緒のとき
スーツケースが二つ以上あるなら、寝台バスとリムジンバンは候補から外してください。積めますが、下の荷室から出し入れするたびに時間と体力を使います。
| 手段 | 荷物の扱い |
|---|---|
| 列車 | 1枚の券につきおよそ32kg、縦横高さの合計203cmまでが無料。手荷物は別に20kgほど。実際に計られることはめったにありません |
| ベトナム航空 | エコノミーで23kg1個。上位のクラスで32kgまで |
| ベトジェット | 最安運賃は0kg。事前購入が3〜5割安いです |
| 寝台バス | 公称20kg程度ですが、実際にはほぼ計りません。大きな荷物は下の荷室です |
ベトナムには、日本の宅配便のように荷物だけを別の町へ送る仕組みが定着していません。空港と市内のホテルの間なら当日配送の会社がありますが、ハノイからダナンへ荷物だけ送るという使い方は現実的ではありません。数日だけ荷物を置きたいなら、預かり所を使ってください。ハノイ駅には自動のロッカーがあり、5万ドンで4時間、超過分は受け取り時に払います。ノイバイ空港は第2ターミナル2階の東側に預かり所があり、1個1日あたりおよそ10万ドンです。第三者の預かり網は1日1.5〜6米ドルほどで、駅や空港の半額前後です。ダナンとホイアンでの預け先はダナンとホイアンの荷物預かりにまとめました。
年配の方や、歩くのがつらい方と一緒のとき
ベトナムの在来の鉄道は、車椅子での利用を想定して作られていません。車椅子のまま車両に入れないので、乗り降りのたびに抱えることになります。駅のスロープやエレベーターの有無も、駅によってばらばらです。新しい地下鉄は設備が整っていますが、ハノイの地下鉄3号線がハノイ駅まで届くのは2027年後半の目標で、ホーチミンの1号線はサイゴン駅を通りません。つまり地下鉄で駅まで行くという解決策が、今はまだ使えません。
古い型の路線バスも同じです。新しい電気バスは対応していますが、旅行者が乗る観光向けのバスは「なんとかなる」水準で、快適とは言えません。寝台バスは、車椅子の方に限らず、膝や腰に不安のある方全般に向きません。段を上がって狭い寝台に入り、朝5時に降りるという流れが、体にこたえます。
いちばん確実なのは、運転手付きの車です。日程のほとんどの区間を、宿の玄関から目的地の玄関まで座ったまま移動できます。1日265万〜320万ドンを人数で割ってみて、それが払える金額なら、迷わずそちらにしてください。飛行機については、ベトナム航空が優先搭乗や乗降の介助を用意しています。予約のときに申し込んでおいてください。
乗り物酔いへの備え
ベトナムで酔いやすい区間は決まっています。ニャチャンからダラット、ハノイからサパの最後の登り、ハザンの周回路、そしてフエからダナンへ峠を越える道です。どれも山を上下する区間です。
| 備え | 中身 |
|---|---|
| 薬は乗る前に飲みます | 症状が出てからでは間に合いません。出発の30分前が目安です |
| 席は真ん中を取ります | 寝台バスでも大型バスでも、前後の端より揺れが穏やかです |
| 大型バスを選びます | 9人乗りのバンは動きが急です。酔いやすい方には向きません |
| 画面を見ません | 走行中に地図や動画を見ると悪化します。目は窓の外へ |
| 昼の便にします | 外が見えるだけで、かなり違います |
どうしても不安なら、その区間だけ運転手付きの車にしてください。座席が広く、いつでも止まって外の空気を吸えます。ニャチャンからダラットのような3時間の区間なら、一日分の車代を払っても旅全体が救われます。
緊急のときの番号
ベトナムには日本の119にあたる統一番号がありません。警察が113、消防が114、救急が115、大規模な捜索救助が112です。携帯からも固定電話からも24時間無料でつながりますが、英語が通じる保証はありません。離島や山間部では、医療機関にたどり着くまでの時間そのものが長くなります。フーコックには本土へのヘリコプター搬送の体制がありますが、コンダオやハザンで同じ速さを期待するのは難しいです。旅行保険の補償範囲を、出発前に一度読んでおいてください。
16. 区間をつないで、旅程にする
個々の区間の答えが決まったら、あとはつなぐだけです。ここで崩れるのはたいてい二か所、テトの前後と、帰国前日の中部です。この節では、実際によく組まれる形をいくつか並べて、どこで壊れるかを先に書きます。日数が足りないと感じたら、行き先を削ってください。移動の手段を速くしても、たいてい足りません。
よくある組み合わせ
| 日数 | 行程 | 区間ごとの手段 | 崩れやすい場所 |
|---|---|---|---|
| 5日 | ハノイ〜ハロンまたはニンビン〜ハノイ | 往復とも送迎バスかリムジンバン | ほぼ崩れません。北部だけに絞る形です |
| 6日 | ダナン〜ホイアン〜フエ〜ダナン | ダナンからホイアンは車、フエへは列車、戻りはトンネル経由のバス | 9月から11月は道路の冠水と峠の通行止め |
| 7日 | ハノイ〜サパ〜ハノイ〜ダナン〜ホイアン | サパはリムジンバン往復、ダナンへは飛行機 | サパから戻った日に飛行機を入れると、遅れが直撃します |
| 8日 | ホーチミン〜ムイネー〜ダラット〜ホーチミン | ムイネーへは高速道路のバス、ダラットへも陸路、戻りは夜行バスか飛行機 | ムイネーからダラットの山道で酔う方が多いです |
| 10日 | ハノイ〜フエ〜ダナン〜ホイアン〜ホーチミン | ハノイからフエは夜行列車、フエからダナンは列車、ダナンからホーチミンは飛行機 | 夜行列車の翌日に予定を詰めると、遅れで全部ずれます |
| 14日 | ハノイ〜ハザン〜ハノイ〜ダナン〜ホイアン〜ホーチミン〜フーコック | ハザンは夜行バス往復、以降は国内線でつなぎます | フーコックの後に国際線を同日で入れる形 |
| 21日以上 | ハノイからホーチミンまで陸路で縦断 | 区間ごとに列車とバスを使い分けます | 日数が足りないまま始めること。2〜4週間が現実的な幅です |
つなぐときの四つの規則
- 夜行の翌日に飛行機を入れない。朝5時に着いた日は、体力が半分です。空港へ向かう移動がそこに重なると、遅れが出た瞬間に選択肢がなくなります。
- 国際線の前日は移動しない。国内線の定時運航率が62.6%、台風の季節の中部なら空も陸も同時に止まります。前日を空けておくだけで、この危険はほぼ消えます。
- 島は最後に置かない。フーコックもコンダオも、天候で船と飛行機が止まります。旅程の中ほどに置いて、後ろに本土の日を作ってください。
- 1日に長距離の区間を二つ入れない。ハノイからサパへ行って、その日のうちにダナンへ飛ぶような組み方は、紙の上では成立しますが実際には破綻します。
崩れる場所の具体例
いくつか、実際によく起きる崩れ方を書いておきます。
- サパからハノイへ戻って、その日のうちに国際線。サパからの道は山を降りてから高速道路に入ります。渋滞で1時間ずれるのは珍しくありません。ハノイで1泊挟んでください。
- フエからホイアンへ移動した日に、その夜のショーを予約。3時間の予定が、途中の渋滞や雨で4時間半になることがあります。着いた日の夜は何も入れないほうが安全です。
- コンダオを日程に入れて、船で戻る前提にする。11月から2月は船が週1回まで減ることがあります。この島に行くなら飛行機で往復してください。
- フーコックとコンダオを同じ旅行で回る。いい季節が逆なので、どちらかは必ず荒れた海です。飛行機でつなぐ前提なら成立します。
- ハザンから戻った当日にサパへ向かう。地図では近そうに見えますが、直行の交通が乏しく、ハノイまで戻ることになる場合が多いです。
宿は移動に合わせて選んでください
夜行で朝5時に着く日は、早いチェックインか荷物預かりのある宿を先に押さえます。逆に夜行に乗る日は、宿を出てから乗り場まで移動する時間を数えます。この二つを予約の段階で決めておくと、当日の判断が要らなくなります。都市ごとの宿泊エリアはハノイ、ダナン、ホイアン、ホーチミン、フーコックの記事にまとめてあります。
移動中の通信
区間をつないでいく旅では、通信が切れると予定が組み直せません。列車の車内では電波が途切れがちで、山道でも同じです。到着地の宿の住所、次の乗り物の券、地図は、圏外でも開ける形にしておいてください。回線そのものの選び方はベトナムのeSIMに書きました。
最後に、削る勇気について
ベトナムを旅する日本人の日程で、いちばん多い失敗は行き先の入れすぎです。ハノイ、サパ、ハロン、フエ、ダナン、ホイアン、ニャチャン、ダラット、ホーチミン、フーコック。全部行きたくなる気持ちは分かりますが、この十か所を10日で回ると、移動が7日分になります。
移動の手段を速くしても、この問題は解けません。ハノイからホーチミンまで飛行機なら2時間10分ですが、そこに空港への行き来と搭乗手続きを足すと半日が消えます。区間を一つ減らすほうが、確実に半日を取り戻せます。
北部だけ、中部だけ、南部だけ。この単位で区切ると、移動が一気に減って、町にいる時間が増えます。地方ごとの見どころは北部、中部、南部の記事に整理してあるので、そこで削る対象を決めてください。マンデンのような、まだ観光地化していない場所を一つ入れると、旅の印象がかなり変わります。詳しくはマンデンのガイドをどうぞ。荷造りは持ち物リスト、現地での作法はベトナムのマナーとチップが役に立ちます。
🧭ベトナム全国・基本情報115
よくある質問
どの区間に何を使うかが決まったら、次は行き先の中身です。都市ごとの見どころ、季節、予算のまとめはベトナム旅行の全体ガイドにあります。