ベトナム旅行ガイド2026:地域・ルート・ビザ・予算まで一気に組み立てる
霧の北部からメコンの南部まで。国まるごとを正直に、実用本位でまとめた旅の設計図です。
- 旅の全体像:ベトナムは南北に細長い国。初めてなら北から南へ(または逆)が定番で、ハノイ、フエ、ダナンとホイアン、そしてホーチミンへ。長い区間は安い国内線で飛ばします。
- いつ行く:3つの地域は季節がバラバラで、時に正反対。国全体で無難なのは10〜12月と3〜4月です。
- ビザ:今はほぼ全ての国籍が90日のe-VISAをオンラインで取得(一次・数次あり)。13か国は45日ビザ免除です。
- 予算:国際線を除いて1日あたり30〜50ドル(バックパッカー)、70〜120ドル(中級)、180ドル〜(高級)が目安。
- 日数:初めての旅は10〜14日が定番。1週間なら1地域に絞るのが正解(例:中部のダナンとホイアン)。
1. なぜベトナムか、どんな旅になるか
2. 北・中・南、三つのベトナム
3. いつ行く:地域ごとのベストシーズン(ここが肝心)
4. 何日必要?モデルルート
5. どこへ行く:ベトナムの定番スポット
6. 入国:ビザとe-VISA(2026年)
7. 移動:国内線・鉄道・バス・Grab
8. お金と予算:ベトナムは実際いくら
9. 食:実はこれが目的になる
10. 文化・マナー・チップ
11. ネット環境:eSIMとSIM
12. 安全・健康・詐欺
13. 旅の組み立て:次はどこへ
1. なぜベトナムか、どんな旅になるか
正直なところ、ベトナムは「一度行けば制覇」とはいかない国です。成田からダナンまで直行で6時間弱、近いと思って地図を開くと、その縦の長さに少し面食らうはずです。北の国境から南の端まで1,600km超。東京から那覇へ飛ぶくらいの距離が、国の中を縦に貫いています。だからベトナムの日程作りは「どこを入れるか」より「どこを諦めるか」の勝負になります。
そのかわり、欲張りさえしなければコスパは抜群です。朝は600年の港町ホイアンでランタンを眺め、昼はダナンのミーケービーチでのんびり、夜はバイクが川のように流れるサイゴンのルーフトップで一杯。その合間に食べた屋台のフォーが旅で一番おいしかった、という話はベトナムでは珍しくありません。Grabや格安の国内線など仕組みも整っていて、パッケージなしの個人旅行でもまったく不便しません。
2. 北・中・南、三つのベトナム
ベトナムは海岸線に沿って並ぶ3つの地域と考えると分かりやすいです。それぞれ景色も気候もペースも違い、この区別があらゆる計画の土台になります。

| 地域 | 雰囲気 | 主な街 |
|---|---|---|
| 北部 | 涼しく山が多く伝統的。四季がはっきり | ハノイ、ハロン湾、サパ、ニンビン |
| 中部 | ビーチと歴史の街、ゆったりペース | フエ、ダナン、ホイアン、フォンニャ |
| 南部 | 一年中暑く熱帯。速くて現代的 | ホーチミン、メコンデルタ、ムイネー、ダラット |
首都ハノイが北部の拠点で、ハロン湾やサパの棚田の玄関口です。中部は国のリゾートベルト。古都フエ、ビーチの街ダナン、そしてランタンの灯るホイアン旧市街がまとまっています。南部は活気あるホーチミン(サイゴン)、メコンデルタの水路、フーコック島のビーチを中心に回ります。
3. いつ行く:地域ごとのベストシーズン(ここが肝心)
ベトナムに「唯一のベスト時期」はありません。3つの地域が別々の、時に正反対のカレンダーで動くからです。10月に中部が嵐に叩かれている頃、北部は晴れて爽やかなこともあります。一番行きたい地域を基準に計画しましょう。
| 地域 | おすすめ時期 | 避ける・注意 |
|---|---|---|
| 北部 | 3〜4月、9月末〜11月 | 1〜2月は寒く霧雨、6〜8月は暑く湿気 |
| 中部 | 2月〜5月初め(乾燥、30度前後) | 9〜11月は台風と洪水 |
| 南部 | 12〜4月(乾季) | 5〜11月は午後のスコール |
4. 何日必要?モデルルート
回りたい範囲に日数を合わせましょう。長い区間を飛行機で飛ばすのが、バス暮らしにならずに多く回るコツです。
1週間:1地域を深く
7日で全国を駆け抜けないこと。1地域に絞るのが正解です。1週間の初旅で一番おすすめは中部。ダナンに入り、ダナンのビーチや近郊とホイアン旧市街に時間を分け、1日はフエかゴールデンブリッジに使えば十分です。あるいは北部に拠点を置き、ハノイ+ハロン湾+ニンビンでも。
2週間:定番の北から南へ
一番人気の初ルートはおおよそ、ハノイ2泊 → ハロン湾1泊 → ダナンへ飛行 → フエ2泊 → ホイアン4〜5泊 → ホーチミンへ飛行2〜3泊 → メコン日帰り。ハノイin・サイゴンoutのオープンジョーにして来た道を戻らないようにします。
3週間:端っこまで
3週間あれば、最北のサパやハザン、中部のフォンニャの洞窟、南部のフーコック島のビーチ締めを足せます。
5. どこへ行く:ベトナムの定番スポット
初めての人が旅を組む基準になる場所を、北から南へ挙げます。詳しいガイドがある所はタップして深掘りを。
北部
- ハノイ:千年の都。旧市街の喧騒、湖、コーヒー、そして北部一の食。
- ハロン湾:エメラルドの海と無数の石灰岩の島。ふつうは1泊クルーズで巡ります。
- サパ:中国国境近くの棚田の山々と少数民族の村。
- ニンビン:「陸のハロン湾」。川と田んぼとカルストの塔、ハノイから日帰りで。
中部:まず始めやすい地域
- ダナン:空港・山・橋がそろう現代的なビーチ都市。地域の拠点に最適。
- ホイアン:ランタンと仕立て屋、川沿いの路地が残るユネスコの港町。
- フエ:かつての帝都。王宮と陵墓、フーンザン(香江)。
- フォンニャ:世界屈指の洞窟地帯。地球最大の洞窟ソンドンもここに。
南部
- ホーチミン(サイゴン):速く現代的な心臓部。戦争の歴史、ルーフトップバー、屋台。
- メコンデルタ:水上マーケットと果樹園、水辺の緑のスローな日常。
- ダラット:松林と花、フランス風の別荘が残る涼しい高原の街。
- フーコック:ベトナム最大の島。リゾートビーチで旅を締めるのに。
6. 入国:ビザとe-VISA(2026年)
入国は以前よりずっと簡単になりました。ベトナムのe-VISAは今や全ての国籍が対象で、最大90日、一次・数次が選べます。
- e-VISA(大半の人):公式ポータルevisa.gov.vnで申請して料金を払うと、おおむね3〜5営業日で結果が出ます。最大90日有効で、80を超える空港・陸路・海港で使えます。
- ビザ免除(45日):イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・スペインや北欧諸国など13か国の国民は最大45日まで免除です。
- パスポート:入国日から6か月以上の残存有効期間が必要です。
7. 移動:国内線・鉄道・バス・Grab
国が長いので、たいていの旅は大きな移動を国内線数本で、短い区間を鉄道・バス・専用車で組み合わせます。
| 手段 | 向いている区間 | 目安の料金 |
|---|---|---|
| 国内線 | 長距離(ハノイ〜ダナン〜サイゴン) | 40〜80ドル |
| 統一鉄道 | 景色の良い区間、夜行寝台 | 15〜50ドル |
| 寝台バス | 最安の長距離 | 10〜25ドル |
| Grab(アプリ) | 街なかと近距離(車・バイク) | 約1〜5ドル〜 |
ベトナム航空・ベトジェット・バンブーが主要都市を安く結びます。3〜6週間前に予約を。街なかではGrabアプリがタクシーやバイクに乗る一番安全な方法で、料金が先に決まるので定番のタクシー小細工を避けられます。フエとダナンを結ぶハイヴァン峠の鉄道は、それ自体が乗る価値のある絶景です。
8. お金と予算:ベトナムは実際いくら
ベトナムはアジア有数のコスパ旅行先です。通貨はベトナムドン(₫)で、ゼロがたくさん付きます。だいたい1ドル25,000ドンです。
| スタイル | 1日(国際線除く) | 含まれるもの |
|---|---|---|
| バックパッカー | 30〜50ドル | ホステル・格安ホテル、屋台、バス |
| 中級 | 70〜120ドル | 良いホテル、レストラン、ツアー、たまに国内線 |
| 高級 | 180ドル〜 | リゾート、クルーズ、専用ガイド・送迎 |
ほぼどこでもドンで払います。街のホテルや飲食店ならカードも使えますが、屋台・市場・タクシー・地方では現金が要ります。チップはありがたがられますが義務ではありません。両替・支払いガイドでATMやカードの小細工を、費用・予算ガイドで1日単位の支出例を扱っています。
9. 食:実はこれが目的になる
ベトナム料理は新鮮で、地域色が濃く、笑えるほど安いです。ちゃんとした店のフォー一杯や屋台のバインミーが1〜2ドルで、旅で一番おいしい一品になることも。地域ごとに作り方が違います。
- 北部:フォーとブンチャー(炭火焼き豚と麺)の故郷。より繊細で甘さ控えめ。
- 中部:濃くてスパイシー。フエの宮廷料理、ホイアンのカオラウとホワイトローズ、ダナンのミークアン。まずはダナン食べ歩きガイドから。
- 南部:より甘くハーブたっぷり。メコンの川魚、コムタム(砕き米)、南国フルーツ。
そしてコーヒー。濃く黒いコーヒーに練乳を入れ氷で飲むカフェスアダー、ハノイ名物のエッグコーヒーまで。地元の人が並ぶ店で、小さなプラスチックの椅子に座って。屋台を恐れないでください。回転が速いぶん、たいていその街で一番おいしく安全です。
10. 文化・マナー・チップ
ベトナムの人は温かく、旅行者の失敗にも寛容ですが、少しの心配りが大きな差になります。
- 寺院・廟:肩と膝を隠し、表示のある所では靴を脱ぎ、声を抑えて。
- チップ:もともと期待される文化ではありませんが、年々喜ばれます。タクシーは端数を切り上げ、ガイドやスパ、良いレストランのサービスには渡しましょう。
- 値段交渉:市場では普通、定価表示の店ではしません。笑顔で。攻撃的だと逆効果です。
- 面子と落ち着き:人前で怒っても、たいてい得はありません。文句より、忍耐と笑顔のほうが遠くまで行けます。
いくら渡すか、何が失礼かといった細かい点はマナー・チップガイドにまとめています。
11. ネット環境:eSIMとSIM
降りた瞬間からデータが欲しくなります。Grab、地図、翻訳、予約、どれもデータ前提です。一番手軽なのは出発前に設定しておくeSIM。空港のカウンターを探さなくても、着いた時にはもうオンラインです。
eSIMはたいてい空港の物理SIMより安くて便利で、自宅の番号もそのまま残せます。おすすめの会社・プラン・料金はベトナムのeSIM比較でまとめています。物理SIM派なら、大手(ビエッテル・ビナフォン・モビフォン)が格安の旅行者向けデータパックを売っています。
12. 安全・健康・詐欺
ベトナムは旅行者にとって安全な国です。観光客を狙った重い犯罪はまれ。実際に損をするリスクは小さく、避けられるものばかりです。
- 交通が本当の危険。道はゆっくり一定に渡れば、バイクのほうがよけて流れます。止まったり飛び出したりしないこと。
- 小さな詐欺:メーターなしタクシー、「壊れた」メーター、お釣りのごまかし、ツアー料金の水増し。Grabを使い、値段は先に決め、代表的な詐欺ガイドを読んでおきましょう。
- 食と水:ボトルか浄水された水を飲み、回転の速い賑わう屋台を選びましょう。
- 保険:バイクに乗る予定なら、バイクを補償する旅行保険を。多くの保険は対象外にしています。
13. 旅の組み立て:次はどこへ
これで国の全体像、時期、ルート、予算がつかめたはずです。次は選んだ場所を深掘りする番。そこからブリーズ・ベトナムの残りがつながっていきます。
どこから始めても、全部やろうとせず1地域から外へ広げていきましょう。ベトナムは地図で良さそうに見える旅ではなく、実際に最後までやり切った旅に応えてくれます。